shigashiga’s diary

ファッションと音楽のつながりをCDレビューを通して紹介・考察するブログです。

POST ROCKの世界へようこそ。

今回はPOST ROCKの盤紹介。

POST ROCK・・聞いたことありますか?たぶん、多くの人は馴染みのないジャンルですよね。それか名前は聞いたことがあるけど・・とか。でも理解をしていくととても深く、すてきなジャンルなので、数枚を紹介、ヒストリーなどを語っていきます。

 

POST ROCK(ポストロック)という呼び方の起源

イギリスの音楽ジャーナリストであるサイモン・レイノルズがミュージックマガジン《MOJO》においてブラックサイコシス(BLACK PSYCHOSIS)というバンドのアルバム『HEX』を評したレビューが起源とされているという説が有力らしい。

演奏方法やインスピレーションなどルーツ的なものは存在しますが、ジャンルとしての定義づけはなしと言っていいかも。メタルのマナーで音を奏でるもの、サイケ、フォーク、ジャズなどの要素も多岐にわたっているものもあれば、それぞれの作品を構成しているから。

発生時期はおそらく1990年代。メタル、ヒップホップ、そしてグランジのムーブメントの渦中。パンク、ハードコア→80年代のレボリューションサマー(ポストハードコア)を通過したバンドのメンツ、元バンドをやっていた人たちが音に向き合いひたすらテストを行い、自分たちのやっていたロック(音楽)のそのさきを真摯に追求した新しいフェーズのミュージック。

2000年代に入り、リバイバルムーブメントへ突入。新しい音が見つからないこの年代、徐々にフォーカスされ見直されることに。傾向としてはボーカルものもあるけどインストバンドの方が多い感じかな。

 

レコード、CDをオーディオにセットし、再生。すぐにノリにのって・・という類のものではなくてたとえばロック、ラップなどがメッセージを耳で聞き、頭で理解し行動に移すためのものだとしたらポストロックは体で感じる音だと思います。体感の音楽でヒーリングやクラシック、環境音楽(アンビエント)に近いものだと思います。部屋で、車でとかがぴったりかも。このジャンルには日本で音響派(Abstract Sonics)と呼ばれていたシカゴのコミュニティがあり、ここからすてきなバンドが多数の優れた作品をリリースしています。ジョン・マッケンタイア、サムプレコップ、アーチャー・プルウィットといった人たちが有名。

シカゴ系作品

 

 

 

あとシカゴで忘れてはいけないのは重要人物ジム・オルーク(Jim O'Rourke)。1994年にガスター・デル・ソルというバンドに加入、この時のメンバーにはジョン・マッケンタイア、デヴィット・グラブス、バンディ・K・ブラウン。その後、ジョンとバンディが抜け、デヴィットとジムのふたりに。関連作で聞きやすい6枚のアルバムを紹介します。

 

 

 

 

 

  

前述の作品が全てではないですが、個人的にお気に入りです。よかったら聞いてみてください。ルーツにハードコア、パンクの精神を宿しているとは思えないくらいきれいで緻密な作品ばかり。

ルイヴィルのシーンについて

今度はケンタッキー州ルイヴィルのシーンについて。このルイヴィルという土地にも欠かすことのできないルーツがあり、デヴィット・グラブスが加入していたスクワレル・ベイト(1995年)からスリントへと発展。スリントのメンバーはデイヴィット・パホ、ブライアン・マクマハン、イーサン・バックラー、ブリット・ウェルフォードの4人。『Tweez』、『Spiderland』代表作は絶対聞いてほしいマストな2枚。スティーブアルビニが1stアルバム、2ndアルバムをプロデュース。2ndの写真はウィル・オールダムによるもの。そしてデイヴィッド・パホ自身もパパ M(WHATEVER MORTAL)というソロブロジェクトをしたり。この作品にはタラ・ジェイン・オニール、ウィル・オールダム、元スクワレル・ベイトのブリッドも参加。また、スマッシング・パンプキンズのジェームズ・イハとパホがメインのバンドのズワン(ZWAN)や他にもDead Childなどでも活動しています。デヴィット・グラブスとワシントンDCに移住し、バストロというバンドをジョン・マッケンタイアと組みます。このバンドもなかなかのかっこよさ。ハードコアをルーツにもつヒリヒリ感もよし。

ルイヴィルには良質なバンドが多く、タラ・ジェイン・オニールが在籍していたポストハードコアバンド ロダンやソノラ・パイン、スリント のメンバーブライアン・マクマハンのフォー・カーネーション(The For Carnation)などよいバンドが多いのも特徴。このルイヴィルにはその後でシカゴで起こるポストロックムーブメントの中心人物のルーツもあり、この土地のアーティストを追っていくとここでは紹介し尽くせないくらいさらに深いシーンにも触れることができると思います。その土地土地でシーンが違い、バンドの出す音に傾向があったりするのですが、まずはこだわらずにかっこいいと思ったジャケット、信用のあるレーベルなどで判断して気軽な気持ちで聞いてみてください。ジャケットひとつにしてもおしゃれなアートワークが多いので収集心に火がつくと思います。パンク、ハードコア、ポストロック系を多く扱っているレーベルだと

  • Thrill Jockey
  • Drag City
  • Quarter-stick
  • Touch And Go
  • Temporary Residence
  • Kranky
  • Polyvinyls
  • JADE TREE

などが有名。今回紹介しているディスクだとThrill JockeyやQuarter-stick、Drag Cityなどが入っています。CD、レコ屋、または中古屋さんでたまたま手に取ったものにこれらのレーベルの名前があったら全部がまちがいなしというわけではないですけど、ひとつの情報としてとらえていればお気に入りの盤を手に入れるきっかけになるかもしれないですね。ちなみにぼくはレーベル買いを結構します。ごく稀に変なのもあるけどそれはそれで楽しいです。

最後に盤紹介。