shigashiga’s diary

ファッションと音楽のつながりをCDレビューを通して紹介・考察するブログです。

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -6

前回に続き、USバンドのレビューです!!
今回はエモやポストロック的なアプローチのバンドを紹介していけたらと思います。

①Falling Forward(フォーリング・フォワード)-『Hand Me Down』

ケンタッキー州ルイビルのエモーショナルハードコアバンドになります。
静と動のコントラストがしっかりしていてとてもきれいなサウンド。そして少しだけノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。かなりクオリティの高いバンドではあるのですが、
中々の知名度の低さ…。勿体無さすぎだと思います!

のちにメンバーがELIOTTやKILOWATTHOURSといったバンドに発展していきます。
まさにELIOTTの前身バンドといった感じのサウンドになっています。

Hot Water Musicが好きな人にも受けそう。
1994年の作品。

▶︎ Falling Forward "Hand Me Down" (Full LP) - YouTube

②Don Caballero(ドン・キャバレロ)-『For Respect』

アルビニ録音のデビュー1stアルバム。
マスロックの源流ともいわれているドン・キャバレロは個人の名前っぽいネーミングだけど意外にバンド名なんですよね。

サウンドの方はインストロックで変拍子も多用し、かなり熱くロックしている感じです。彼らの代表作は4枚の「American Don」という作品になるんだけど、この1stの方がよりカオティックな緊迫感で包まれていてかっこいいと思っています。

ボーカルなしのインストはちょっと…と思っている人にこそおすすめ。マスロックというジャンルのパイオニア、そして楽器だけでここまで表現力を出せるものすごい人達です!!

1993年作、タッチアンドゴーからのリリース。

③Scratch Acid(スクラッチ・アシッド)-『The Greatest Gift』

ジーザス・リザードのデヴィッド・ヨウがまだテキサスに住んでいた頃に結成していたバンド。
メンバーもなかなかの経歴でDavid Wm. Sims(B)、元ビッグ・ボーイズでのちにミニストリーに加入することになるレイ・ウォシャム(Dr)などそうそうたるメンツ。

これらは彼らによる編集版で84〜87年発売の2枚のLPと1枚のEPで構成されています。

気になるサウンドの方はというと、かなりの変態性溢れるパンク?ロック。ニック・ケイヴに影響されたようなボーカルスタイルでサーフ・カントリー色も強く、なかなかの怪しさと凶暴性、そして中毒性もあり!!

カート・コバーンも好きだったバンドです!!ジーザス・リザードはニルヴァーナとカップリングCDも出してますよ。1991年作。

④Seam(シーム)-『The Problem with Me』

ビッチ・マグネットというポストロック・ポストコアの源流を作り上げたバンドのフロントマン、スーヤン・パークが在籍のギターバンド。
スタート当初はスーパーチャンクのマック・マコーンがドラムだったのも有名。

スーパーチャンクと同じチャペルヒルからシカゴへ移ってからの2ndアルバムである『The Problem with Me』は静と動のシームレスな移ろいと韓国系アメリカ人、スーヤン・パークのストレートでピュアな歌声も魅力。1993年発売でこちらもタッチアンドゴーからのリリース。
ジャケットのアートワークもキレイ。

⑤Mineral(ミネラル)-『Power of Failing』

エモーい!!
ナイーブなボーカルスタイルとサビの部分では胸の奥を掻きむしるような熱いギターが響き渡る、これぞ大道といったエモコアスタイル!!クリス・シンプソンの今にも泣き出しそうな歌いまわしはWEEZER並みかも。

ジャケットアートワークもとてもエモーショナルな感じ。アルバムを通してアップテンポな曲とスローテンポな曲、両方バランスいい配分でとても聴きやすい作品。

Crank!というインディレーベルからのリリースです。1997年発。
テキサスのクラシックエモバンドの1stアルバム!!

⑥The Rentals(レンタルズ)-『Return of the Rentals』

ウィーザーのベーシスト、マット・シャープのバンド。
特徴はアナログシンセやヴァイオリンをフィーチャーしているところ。

電子音+弦楽器の効果か、全体をとおして素朴な雰囲気とどこかレトロな感じが漂っています。
こちらもウィーザーに負けずかなりのPOPサウンド。キレッキレのサウンドとうねるムーグ。
2曲なんかは女性コーラスが絡んだりも!!

『Return of the Rentals』で手応えがあったマットはウィーザーを脱退し、レンタルズに専念していくことになります。1995年の作品。

ジャケットもナードな感じでとても好き!!

⑦COPPER(コッパー)-『Drag Queen』

Equal Vision Recordというハードコアレーベルからのリリースになります。
本作は1996年発売でジャンルでいうとポストハードコア、エモにあたります。

テキサス・イズ・ザ・リーズンや初期のセンス・フィールドのようなスタイルで、実際テキサス・イズ・ザ・リーズンのベースも在籍していたバンドなのでその周辺のバンドとは親和性も高いです。

どこかヒリヒリした感じもとても良し。
ミドルテンポ・アップテンポのバランスもとても聴きやすい良盤です。
マイナーなバンドですがぜひ!!
このバンドもエモーい!!

▶︎ Copper - Drag Queen (full) - YouTube

⑧Shades Apart(シェイズ・アパート)-『Save It』

ニュージャージー州出身の3ピースバンド。
ハードコアのもっている高速感や疾走感に哀愁を帯びたダークなメロディとボーカルが乗っかっている感じのスタイル。

要は、激シブでかっこいい!!ということ。

こちらはレベレーション・レコードからのリリースで、この日本では今も当時もマイナーなバンドです。作品ごとに音のスタイルが変化していて実験性の高いバンドなのですが、一貫して全てのクオリティが高く、ハードコアマナーを保っているのも彼らの凄さ。

『Save It』は1995年の作品で、ALL、Descendentsのビル・スティーブンソンとステファン・エガートンの名コンビがエンジニアを担当しています。
ALLやDescendentsのような疾走感や変拍子も加わり、オリジナリティのある作品になっています。

とてもエモーショナル!!

▶︎ Shades Apart - Save It. (Full Album) - YouTube

⑨State Of The Nation(ステイト・オブ・ザ・ネイション)-『State Of The Nation』

こちらもレベレーション・レコードより1995年のリリース。
ミドルテンポなハードコアナンバーがずらりと並び、3ピースバンドとは思えないほど分厚さを感じるサウンドです。

このバンドは紹介した割には詳しいことがいまだにわかっていません(すみません…)。
わかっているのはジャケットアートワークのレイアウトがブルーチップ、レティソニックのジェイソン・ファレルだということ。レベレーション・レコードという名門レーベルの初期のカタログだということと3ピースバンドであること。

そして疑いなく名盤で非常にかっこいい!!
スノーボード、スケートのBGMにももってこい。

地元のタワレコで100円コーナーにぶち込まれているもを掘り出して、それをいまだにもっているんですが、誰に聞いても、ネットで調べても何もわからず…。多分この1枚で終わったバンドなんでしょうけと、勝手に隠れ名盤だと信じています。

⑩Nada Surf(ナダ・サーフ)-『High/Low』

1992年にニューヨークで結成されたバンド。
一応アメリカのオルタナティブロックバンドの括りに入っていて、エモやギターロック好きにもハマる軽快な音を主軸としている感じ。3曲目の「Popular」がちょっとだけ有名。

ちなみにプロデュースはThe Cars(カーズ)のリック・オケイセックです。
2002年の『Let Go』、2012年の『The Stars Are Indifferent To Astronomy』。
そして最近の作品である2020年の『Never Not Together』というアルバムが彼らのカタログの中では好印象。

どれもメロウでいい作品。天気が良い日のお出かけにぴったりなサウンド。

最後に

また次回へ続きます。
次は90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -7です。

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -5

またまたレビュー編。
前回は日本のバンドにフォーカスしましたが、
今回はUSバンドに焦点戻しての戻しての10選です。
お付き合いください!!

①Codeine(コデイン)-『Frigid Stars Lp』

1991年、サブポップからのリリース。いわゆるスロウコア・サッドコアの系譜にあたるバンド。グランジブーム真っ只中にこのテンションの低さったらないです!!

ヘビーでスローなエモーション。たゆたうビートはサイケ感も放出しています。スロウコア・サッドコア近辺のバンドの中だと伝説化しているほど。とても静かなロックバンド。

そしてこのバンドから、プルマン、ザ・ニュー・イヤー、ヒム、シッピング・ニュースと派生していくことに。うるさい音楽に疲れた方に青く灯してくれる優しい音楽となっておりますよ。

②Shellac(シェラック)-『Terraform』

グランジ以降、1998年発表。
スティーブ・アルビニ率いるシェラックの2ndアルバム。

無機質で攻撃的、アルビニ関連の作品ってどれもいいのですが、中でもやっぱり自身のバンド、シェラックが一番好きなんですがこの『Terraform』が特に好き。

メンバーはアルビニ自身とボブ・ウェストン、トッド・トレーナーの3人。アルビニはニルヴァーナ、イギー・ポップ、スーパーチャンク(前々回紹介しました)など、数えきれないくらい様々な仕事に携わっているので知っている人も多いはず。そんな彼のポストハードコアバンドです。
かっこいいですよ!!

③Bedhead(ベドヘッド)-『Transaction De Novo』

こちらもサッドコアバンド。ノイジーなギターが空間を埋めていく様がこのジャンルの由来になっているのではといわれています。なんとなく80'sのUKギターバンドみたいな雰囲気も醸し出しているような感じもあり、前述のコデインよりも若干聴きやすいかも。

『Transaction De Novo』は1998年の彼らのラスト作。
そしてアルビニ録音です。

LOWと並んでサッドコアの代表的なバンドでボーカルのマット・カデインの叙情性のある歌いまわしがとてもクセになります。タッチアンドゴーからのリリースです。

④Earth(アース)- 『earth2』

1993年サブポップからのリリース。
このバンドはイっちゃっているの一言しかないです。

緩急も抑揚も何もなく、ただひたすら重低音のリフが鳴り響いているだけのサウンド。しかし、カート・コバーンも彼らを支持し、Sunn O)))(サンオー)も彼らに多大な影響を受けたそう。

怪盤中の怪盤!!
たった3曲で73分弱。

大半の人は「えっ…なにこれ」って絶対思います。僕も初めて聴いたときはなんのための音なんだろうって思いましたし。
でも聴く頻度を意識的に増やし、何も考えないで聴いていたらこれがまた結構、というかかなりかっこいい。

よく言えば前衛的、悪く言えば難解。
ハマる人にはハマるっていう感じです。
究極のドローンミュージックです!!

music.youtube.com

⑤A Minor Forest(マイナーフォレスト)-『Flemish Altruism』

彼らは1992〜1999年に活動していたサンフランシスコのポストハードコアバンド。
彼らもまた、グランジの喧騒の中、表舞台ではほぼ語られることのないバンドでしたが、この作品はシカゴのスリルジョッキーという名インディーレーベルからのリリース。

エンジニアはスティーブ・アルビニを起用しており、夜霧のような冷たいもやもや感とヒリヒリとした雰囲気のある、スリントやロウをもう少し狂気じみた感じのカオティックな作品に仕上げています。

1996年発売の彼らの1stアルバムです!!

⑥A Minor Forest(マイナーフォレスト) -『...So, Were They in Some Sort of Fight?』

前述で紹介したマイナーフォレストの1999年発表の3枚目のアルバムで、多分コンピレーションアルバム。2枚組になっていて内容もとても良し!!

終始ヒリヒリと緊張感のあるサウンドはこの時代特有のもので、現代には産み落とされ得ない感性なのではと思うくらいのオリジナリティを秘めています。
かなりかっこいいのでぜひ試してください!!

⑦BLUETIP(ブルーチップ)-『Dischord No.101』

フガジのイアン・マッケイのディスコード・レコードからのリリース。
ワシントンDCのバンドです。

元SWIZ、スイートベリーフリークダウンというバンドにいたジェイソン・ファレルとデイブ・スターンが中心となって結成。DCのレボリューションサマー世代のガツンとくる強烈なロックアルバム。
メンバーのジェイソン・ファレルはディスコード・レコードのアルバムジャケットのアートワークも手がけたりとマルチな才能のある人。

全曲ハイテンションでぶっ飛んでいるバンドです!!

⑧BLUETIP(ブルーチップ)-『Post Mortem Anthem』

前述のバンドの編集盤。
未発売曲やコンピ収録曲、B面などをまとめたアルバムです。
発表は2001年ですが、90年台の彼らの隠れた名曲がたくさん入っています。
某中古CD屋さんの安売りワゴンラックで100円で購入。本当ラッキー。

⑨Down by Law(ダウン・バイ・ロウ)-『Blue』

1991年、エピタフレコードからのリリース。
元D.Y.S.、DAG NASTY 、ALLのフロントマン、デイヴ・スマリーを中心に結成されたパンクバンド。

ハードコアテイストなスタイルはやや薄れ、乗り心地の良いロックンロールスタイルになっています。彼が行き歩いたバンドは全て人気があり、パンク好きな方は名前くらいは聴いたことがあるのかもしれないけど、それらのバンド解散後のデイヴの活動はあまりチェックされていないと思うんですよね。

デイヴはこのバンドで最高に弾けています!!

今作は2ndアルバム、『Blue』っていうタイトルだけど、ジャケットは真っ赤!!

⑩Down by Law(ダウン・バイ・ロウ)-『Punkrockacademyfightsong』

ダウン・バイ・ロウの3rdアルバム。前作よりもっとパンキッシュな感じ。
ディヴ・スマリーのボーカルも実にカッコよし!!

捨て曲はなしで、1曲2〜3分台で一気に聴けるショートチューンが大半を占めます。
おすすめ曲は『500MILES』。プロクライマーズのカバーかな。
スノーボード・スケートボードのBGMとしても最適なアルバム。1994年作。

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -4

前々回に次いで同企画!!今回も音楽シリーズです。今回からは同時期に活躍していた日本のバンドに触れていきます。日本の90'sロック編!!

①BOREDOMS(ボアダムス)- 『Soul Discharge』

ロラパルーザの出演やニルヴァーナの全米ツアーのオープニングアクトを務めたりと海外での活動がメインでソニック・ユースのキム・ゴードンやオルタナバンド勢とのつながりも強い。

多分日本最強のバンド(勝手に思っているだけ…)。

1986年に結成されたオルタナティブバンドで山塚EYE(アイ)が中心となり活動。『Soul Discharge』は彼の1stアルバムでニューヨークのShimmy-Discからのリリースです。
サウンドはかなり実験性が高く、とにかく凶悪でスピーディー。クレイジーなバンド。1990年代はボアダムスがとにかく熱い時期なのでぜひぜひぜひ聴いてみてください。ちなみにShimmy-Discからルインズというエクスペリメンタルバンドも作品を出しています。ボアダムスもルインズも日本より海外での知名度が高いとされるバンドたちです!!

▶︎ Boredoms - Soul Discharge (1989 vinyl) (with download) - YouTube

②BOREDOMS(ボアダムス) - 『Chocolate Synthesizer』

1994年の作品。より一層狂った感じです。凄まじいスピードとパワーで全編あっという間に聴いてしまう1枚。ノイジーでスカム。アートワークも独特。EYEのセンスがこの1枚に詰まっている感じ。サウンドを聴くと少し難解に思われる方もいるかもしれませんが何度も聴いているうちにどんどんハマってくるスルメ盤のような作品でもあります。本当に日本のロックバンドなのかと思うほどのかっこよさ。

▶︎ Boredoms-Chocolate Synthesizer (1994) - YouTube

③John Zorn(ジョン・ゾーン)- 『Naked City』

ジョン・ゾーンは海外アーティストですが、前衛音楽家の彼の作品でボアダムスのEYEがゲストボーカルとして度々参加しているので、その作品の中の一つ、『Naked City』を紹介しようと思います。

サウンドはジャズ、インプロビゼーションが色濃く、ジョン・ゾーンの狂ったアルトサックスにギター、ベース、ドラム、キーボードがついていく感じ。ジャズスタイルなんだけどかなりロックっぽい雰囲気もあり、中盤のグラインドコア系のトラックではボアダムスのEYEがボーカルとして参加し、ジャケットには漫画家の丸尾末広さんデザインはサディスティック・ミカ・バンドやイエロー・マジック・オーケストラの高橋幸宏さんも参加。日本人アーティストも大勢携わっているアルバムなんです!!1990年作の隠れ名盤です。山塚EY関連ということで入れてみました。

▶︎ John Zorn & Naked City with Eye - NYC live - YouTube

④FREE KITTEN(フリー・キトゥン)- 『Nice Ass』

こちらもボアダムス関連ということで。
1994年、キル・ロックスターズからのリリース。元プッシー・ガロアのジュリィ・カフリッツ、ボアダムスのヨシミ、ペイヴメントのマーク・イボルドの4人からなるバンドです。ジュリィとキム・ゴードンはX-girlで有名ですよね。

▼過去の記事でも紹介しているので見てみてくださいね! www.lentlent.com

サウンドはジャンク風味でアングラなパンクロックといった感じです。彼女たちの作品の中だと個人的にはこのアルバムが一番やさぐれ感があって好き。

⑤BUCK-TICK(バクチク)-『darker than darkness』

1993年発表のバクチクの8枚目。ヴィジュアル系?と思う人も多いと思いますが、そのイメージで活動していたのは初期のみ。6枚目の『狂った太陽』以降は前作品からはイメージもつかないくらい実験性も高く、ポジパンテイストも含みつつダークなサウンドをアップデートし続けています。この『darker than darkness』はナイン・インチ・ネイルズに影響を受けたのか、トラック終了後ずっと無音のトラックが続き、93曲目にアルバム表題曲がかかるという手法をとっていて、トレントレズナーの影響は多少なりともあるのではないかと勝手に思っています。ジャケットのアートワークも不気味。グランジ、アメリカンオルタナティブ系サウンドと共鳴しているような感じも伺えます。好きな曲は2曲目「Deep Slow」、5曲目「神風」、93曲目「D・T・D (表題曲)」。どれもかっこよし!!暗闇を音にしたようなアルバム。

⑥THE MAD CAPSULE MARKETS(ザ・マッド・カプセル・マーケッツ)- 『MIX-ISM』

グランジ以降の1990年代を代表する日本のロックバンドだと思います!!彼らの作品は全部いいのでどれにするか悩んだんですが、今回は『MIX-ISM』。

バンド後期のデジタルゴリゴリスタイルもかっこいいのですが、『MIX-ISM』はそうなるちょっと前くらいのアルバム。どことなくレイジの1stアルバムに似ていると思っているのは僕だけか…。少しポリティカルでミクスチャースタイル。レイジよりはストレートなロック。KYONOのボーカルもやさぐれ感ががありかっこよし!!こんなバンドはもう出てこないかもしれないですね。

⑦BLOODY IMITATION SOCIETY(ブラッディ・イミテーション・ソサエティ)- 『SCREAMIN' NO METHOD』

1990年にTHE MAD CAPSULE MARKETSを結成する室姫 深(むろひめ しん。BLOODY IMITATION SOCIETYでは児島 実名義)のバンド。彼はデランジェというバンドのKYOのソロプロジェクト・DIE IN CRIES(ダイ・イン・クライズ)にも加入していて、このバンドは現ラルクアンシエルのYUKIHIROも在籍していたバンドでもあります!!DIE IN CRIESと並行して発足したのが今回紹介するBLOODY IMITATION SOCIETY。サウンドはマッドカプセル譲りのミクスチャー的な感じ。こっちの方がよりファンキーな印象。縦ノリ全開、少ししゃがれ気味のボーカルもかっこよし。ストリート色の強いミクスチャーハードコアでジャケットからしてゴリゴリ感が伝わってきます!!おすすめ盤!!

⑧COCOBAT(ココバット)-『RETURN OF GRASSHOPPER』

Hi-STANDARDとも同じ時期に活躍していたゴリゴリハードコアバンド。このアルバムはドン・フューリーがプロデュース。こういう不良っぽい音を出すバンドって今はもういないんだろうなあというくらい悪役っぽい雰囲気。スピード感とゴリゴリ感。中心人物のTAKE-SHITのビギビギしているベースプレーもかっこよし。アートワークはハードコアアートでも有名なパスヘッドが手がけています。1996年の作品。キレていてぶっ飛んでいるという表現がしっくりくるバンドだと思います!!

⑨Buffalo Daughter(バッファロー・ドーター)- 『New Rock』

1998年発売の2ndアルバム。そして代表作でもあります。元ハバナ エキゾチカの大野由美子、シュガー吉永、そして山本ムーグにより結成されたバンド。TB-303、Minimoogなどを巧みに使用したり、ドラムンベース、マスロック、ノイズなどの要素も取り込んだりと実験性も高くコーネリアスとか好きな人にもおすすめです!!国内での知名度よりも海外での評価が高いかも。活動もワールドワイドでビースティ・ボーイズとキャピトル・レコードと共同で作ったレーベル、グランド・ロイヤル・レコードからのリリースです。

⑩ZI:KILL(ジキル)-『ROCKET』

ヴィジュアル系で取り上げられることが多く、実際そういった系譜の中にいるバンドには違いないのですが、1993年の時点でこのクオリティ。以前の4作はポジティブパンクテイストで、めちゃくちゃカドがたっている感があり、そのスタイルでも十分カッコよかったんですが、5枚目の『ROCKET』はかなりストレートなロックといった感じに仕上がっています。TUSKのボーカルスタイルもアンチな感じがしてとてもよし!!

▶︎ ZI:KILL / ROCKET - YouTube

最後に

今回はグレンジ扇風風吹き荒れる90年代初頭とムーブメント終焉付近の日本のロックバンドを紹介しました。本国に負けず劣らずのクオリティの高いバンドがたくさんいます!!ぜひ試してみてください!!音楽シリーズの紹介は次回も続きます!!

90’sグランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -3

またこのシリーズ…。
それでは1枚目から。

①Melvins(メルヴィンズ)- 『Lysol(aka Melvins)』

カート・コバーンも敬愛していたシアトルのバンド。サウンドはブラック・サバスとブラック・フラッグを煮込んだ毒気のある激烈なサウンドと言われることが多いんだけど、まさにその通りのヘヴィで極悪極まりないサウンド。このアルバムは1992年発売、、1曲のみの収録で31分という長尺。スラッジ/ドゥ-ムリフが全編を占め、とにかくスロー。そしてものすごいヘヴィネス。これを発売したBoner Recordsもすごいです。スピード感やスクリームだけが激しい音ではないし、むしろこっちの方がぶっ飛んでるかも。地を這うようなヴォーカルスタイルも◎!!

▶︎ Melvins - Lysol [Full Album] - YouTube

②Texas Is the Reason(テキサス・イズ・ザ・リーズン) - 『Do You Know Who You Are?』

彼らが後世に残したエモシーンへの影響はものすごく大きいと思います。エモクラシックをあげると必ず入ってくる名盤でエモコアの先駆け的な作品でもあります。全編ミドルテンポでギャレット・クランのヴォーカルもとても表現豊か。今作は1996年にハードコアの名門レーベルであるレベレーションレコーズからのリリースになります。メンバーは元々、シェルター、108といった激ハードコアバンド出身者でプロデュースはジェイ・ロビンス。彼らはシングル(3曲入り)とこのアルバムが唯一作。エモ、インディロック好きにおすすめです!!

▶︎ Texas is the Reason - Do you know who you are (1996) Full album - YouTube

③Lagwagon(ラグワゴン)- 『Let's Talk About Feelings』

ジャンルで言うとメロコア。スノーボードのDVDやVHSなんかにも曲がたくさん使用されたりしていて、スピード感とメロディアスな曲が彼らの特徴。NOFXのファット・マイクのレーベル、FAT WRECK CHORDSからのリリースです。個人的に大好きな曲は11曲目「May 16」。このバンドは今回紹介させてもらっているジャンルにはほとんど取り上げられることがなく、「メロコアかよ」と思う人も多いかもしれないですが、このアルバムはパンク・オルタナ性をしっかり踏襲しているし、メロコア自体がオルタナティブだと思うので思い切ってこの1枚を選びました。ジャケットのセンスも抜群。おばあちゃんなのかな…?1998年作。

④HELMET(ヘルメット)- 『Meantime』

サウンドはかなりヘヴィでメタリックです。このバンドのペイジ・ハミルトン(Vo)は元々ジャズ畑出身ということもあり、ジャズの要素も取り入れています。重く、そして緻密な音は今聴いてもとてもかっこよくて新鮮。ドラムのジョン・スタニエは現在バトルスというポストロックバンドで活躍しています。この高次元な曲たちは確かにポストロックとの親和性が高いと思わせてくれます。この作品は1992年作でInterscope Recordsというレーベルからのドロップです。ちなみに前作『Strap It On(1990)』『Born Annoying(1995)』の両作も聞き応えがあるのでぜひ試してみてくださいね。僕が初めてきいたときはまだ高校生の時で大して耳も肥えていなかったにも関わらず、あまりのかっこよさに鳥肌がたったのを記憶しています。とてもいいアルバム。

⑤ Elliott(エリオット)- 『Us Songs』

ケンタッキー州ルイビル出身のエモバンドでレヴェレーション・レコードからの1stアルバム。センス・フィールドやジミー・イート・ワールドが好きな人にもおすすめ。どこかノスタルジックでボーカルも優しげ。インスト曲を含むとてもエモーティブなハードコアバンド。ミドルテンポな曲も多く、とても聴きやすい1枚です。元FALLING FORWARDというバンドのメンバーによるバンドでデビュー前から注目されていて、1stは期待を裏切らない最高の出来です!!Texas Is the Reasonとのサウンドの共通点も多いかも。ジャケットもよし!

▶︎ Elliott - U.S. Songs - YouTube

⑥Weezer(ウィーザー)- 『Pinkerton』

1996年発売の2ndアルバム。1stアルバムの『Weezer』があまりにも有名なので『Pinkerton』はやや影が薄い印象を受けるんですが、個人的にはこっちが好き。前作よりラウドでハードな仕上がりで全編を通して暗い雰囲気。リヴァース・クオモ(Vo.G.)のパーソナルな部分も全面に出ていてものすごくかっこいい1枚。特に、7曲目「El Scorcho」がお気に入りかな。ちなみにジャケットのアートワークは歌川広重の浮世絵でリヴァースの奥さんは日本人というのも有名です。闇落ちしたパワーポップという感じです。大名盤!!

⑦Superchunk(スーパーチャンク)- 『NO POCKY FOR KITTY』

マック・マコーン(Vo.G.)とローラ・バランス(B.)によって1989年に結成。ノースキャロライナ州チャペルヒルのバンドです。この作品はプロデューサーにスティーヴ・アルビニを迎え自宅のスタジオで3日間で完成させたもの。勢いがそのまま伝わってくる迫真の演奏です。当時のグランジムーブメントの中では突き抜けてポップでパンキッシュなバンドでした。これを嫌いな人はいないはずだ!!と思いたい1枚。1991年作でアメリカのインディーレーベル、MERGE RECORDSからドロップされています。当時はポストニルヴァーナ的な注目も集めていたらしいですよ。

⑧Jane's Addiction(ジェーンズ・アディクション)- 『NOTHING'S SHOCKING』

大名盤。中心人物のペリー・ファレルはロラパルーザの主催者として有名。他にもアートも手がけるマルチな才能を持ったカリスマ的存在でした。サウンドの方は1980年代後期から盛り上がりを見せたミクスチャーロックスタイル。この時代の他のバンドに比べ、かなりサイケ感とファンク色が強いという印象です。のちにレッド・ホット・チリ・ペッパーズに加入するデイヴ・ナヴァロも在籍し、彼のメタリックなギターを軸としたスタイルは当時「メタルファンク」とも呼ばれていたそうです。スピード、ハード推しの曲だけではなくてミドルナンバーもおすすめ。好きな曲だと「Jane Says」。アメリカからしか出て来なそうなバンドです!!ちなみにデイヴ・ナヴァロはソロ活動もしていますし、ペリー・ファレルもソロ名義での活動としてPorno for Pyros(ポルノ・フォー・パイロス)というサイケデリックサイドに焦点を当てたバンドでの活動もおもしろいです。こちらもチェックしてみてくださいね!!

⑨Unwritten Law(アンリトゥン・ロー) - 『Oz Factor』

1996年のメジャー1stアルバムでサンディエゴのメロディックパンクバンド。プロデュースはグレッグ・グラフィン。彼はバッド・レリジョンのメンバーで音の方は単純明快、シンプルでわかりやすくノリよく突っ走りやすい曲を作るのが特徴。サーフィンムーヴィーの『Good Time』という作品の中でこのアルバム1曲目の「Superman」がケリー・スレーターのパートで使用されていて、僕が初めて聴いたのはその時。バッド・レリジョンやグリーン・デイが好きな人は必ずしっくりくるハズ!!グランジ・ムーブメントより後のバンドですが、とにかくかっこいいバンド。ぜひ!!

⑩The Great Unraveling(グレート・アンラベリング)- 『The Great Unraveling』

ポストハードコアバンドの”Universal Order of ArmageddonWikipedia site:djanimateurfinistere.com”、”Moss Icon"、”Born Against”、”The Convocation”などの中心人物トニー・ジョイのポストパンクバンドによる、たぶん唯一作。1995〜1997年と短い活動ですが、トニー・ジョイの携わっているバンドは全てかっこよし。マイナー中のマイナーですが、90’sサンディエゴの地下シーンが好きな方はビビッとくるかもしれないですね…。こちらもグランジムーブメントより後ですが、聴かないのはもったいない!!完全に埋もれているけど、とてもクール。

最後に

グランジ元年と言われる1991年とその前後・近辺のバンドを紹介させてもらっているのですが、久しぶりに調べたり聴いたりしていると紹介しきれないくらいいいバンドやアーティストがたくさんいる事を再確認。マイナーなバンドも取り上げたりしているのですが、サブスクにしっかり上がっているし、探せばわりと簡単に手に入りやすいものを中心にレビューしています。
次回はこの時期に活躍していた日本のバンドもいくつか混ぜて紹介していこうと思います。
また次回!!

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -2

www.lentlent.com

前回、『90’sグランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選』という記事を紹介しました。その第2弾!!グランジ・オルタナ系のディスクを紹介していきます!!

①Rage Against the Machine -『Evil Empire』

ジャンルは一応ミクスチャー。 代表作は1992年発売のバンド名と同タイトルのアルバム『Rage Against The Machine』。このあまりにも有名な1stアルバムだと思うんですが、個人的に好きなのは今回紹介する2ndアルバム『Evil Empire』。

前作に負けず劣らずハイトーンでたたみかけるザック・デ・ラ・ロッチャのボーカル。
殺傷力高めなリフを叩き込むトム・モレロのギターは痺れまくります。
バンドの姿勢は政治的で反体制だし、サウンドからはその怒りや思想が伝わってきます。

内容も悪いわけがない!!ちなみにプロデューサーはストーン・テンプル・パイロッツ、コーン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどの仕事で知られるブレンダン・オブライエン。そしてミックスはアンディ・ウォレス。ニルヴァーナ、リンプ・ビズキット、リンキンパークなどで有名です。まだレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを聴いたことのない方、1stアルバムしか試していない方、ぜひ聴いてみてください!!

②Liz Phair(リズ・フェア) -『Exile in Guyville』

1993年発表。この時期、P・J・ハービーなどの活躍もあって女性シンガーがセックスや性的な詞を赤裸々に歌うスタイルが注目されたんですが、このリズ・フェアの1stアルバムもその系譜だと思います。サウンドは初期のエリオット・スミスに通じる感じ。最小限のバンドサウンド、ザラついたローファイ感もあります。マタドールレコードというアメリカの老舗のインディレーベルからこの1stアルバム『Exile in Guyville』はドロップされていてます。プロデュース陣も後にシカゴ音響系の一端を担うブラッド・ウッドとケイシー・ライスのふたり。
この時の彼女は26歳でミュージシャンとしては遅咲きかもしれないけど、虚飾のない歌詞やときに醸し出すアイロニーな感覚もとても素晴らしく女性シンガーソングライターが好きな方におすすめのアーティストです。ちなみに、なかなかの美人さんでもあります。

③Quicksand -『Manic Compression』

1995年発表。ゴリラ・ビスケッツというニューヨークハードコアバンドのボーカル、ウォルターが始めたポストハードコアバンドの2ndアルバムでラストアルバム。これは超名作。
サウンドはうねる様な激しさとハーモニクスを多用したソリッドな音が全体を支配しています。個人的にはフガジと同じレベルだと思っています!1stも激シブなので試してみてください。ワートン・ティアーズとドン・フューリーのプロデュース。多少マイナーなバンドですがパンクやメタルが好きな人におすすめの1枚。

④Green Day -『Dookie』

もはや説明不要の大名盤。Green Dayの1stアルバム。これを入れるのはどうかと思ったけどやっぱりかっこいいので!!おおすすめは5曲目「Welcome To Paradise」、7曲目「Basket Case」。
ウッドストックでのライブ、ロラパルーザなどをみてもやっぱりスゴイ。彼はメジャーデビューアルバムでビルボード2位。2011年までの調べで1,500万枚も売れているモンスターアルバムでもあります。最近は洋楽離れが進んでいるそうですが、今こそこのメロコアとパンクスピリットを感じてください!!

⑤Guided By Voices(ガイデッド・バイ・ヴォイシズ)-『Bee Thousand』

1994年の作品。ほとんどの曲が2分前後でとても聴きやすく、ローファイ感もすごくいいです。本作は7作目で初期の代表作でもあります。ジャンルはロック。オハイオで教師をしていたロバート・ポラードが仲間内で楽しむためのパーティバンドとしてスタート。マイペースに自宅録音を重ね、完成した音源を身内や友人に配り、それが評判を呼び、徐々に本格的に。歴史の影に隠れて目立たないバンドですが、ロック好きな人たちからの評価も結構高めです。その後、USインディーシーンに与えた影響はかなり高いと思います。ドライブのときにも合いそうな雰囲気。

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⑥Converge(コンヴァージ)-『Petitioning the Empty Sky』

マサチューセッツの激ハードコアバンド。デスメタルフレーバーのニュースクールハードコアサウンドで時折見せる静寂さが不穏感を与え、そこにカオティックなエモシーンが混ざり込む、ものすごくかっこよくてうるさいバンド。『Petitioning the Empty Sky』 は1996年発売の2ndアルバム。イコール・ヴィジョンレコードというレーベルからのドロップです。
この手のジャンルは今でも人気があって、近いところだとザ・デリンジャー・エスケイププラン、アイシス、ボッチ、ケイヴ・インなんかと親和性が高いかもしれないです。代表作に『Jane Doe』という大名盤があるのですが、今回はこっち。2ndの方が若干聴きやすい気がするので選びました。メンバーのジェイコブ・バノン(Vo)とカート・バロー(G)が中心となったスカッとするくらい激しいエクストリームハードコアバンドです。激情な音ですね。うるさい!!

⑦ELLIOTT SMITH(エリオット・スミス)-『ELLIOTT SMITH』

アコースティックなかっこいい曲がずらりと並ぶアルバム。元はヒートマイザーというバンドのボーカル。本作と次作『Either / Or』が彼の代表作でキル・ロック・スターズレコードというインディレーベルからのリリースになります。まだ今のようなおしゃれな都市じゃなかった頃のポートランドでヒートマイザーと並行しながらひっそりと宅録を続け、当時流行し出回っていたケバケバしいオルタナバンドが無価値に思えるくらいに、フラジャイルな歌とDIYな音作りでオリジナリティを発揮しています。今回紹介している90年代はどうしてもニルヴァーナ中心に語られがちですが、日の目を見ることができなかったけど、素晴らしい活動をしているクオリティの高いアーティストもたくさんいました。ELLIOTT SMITHもそのひとり。素敵な曲が多いので今作『ELLIOTT SMITH』と次作『Either / Or』、合わせてチェックしてみてください。

⑧Soundgarden(サウンドガーデン)-『Superunknown』

シアトルのロックバンド。個人的にはSSTレコードから出している『Ultramega OK』の方が好きなんだけど、今回は彼らの出世作でもあり当時のアルバムチャートでも1位をとった『Superunknown』をおすすめします。サウンドスタイルはわかりやすくいえば、ニルヴァーナ、ジェーンズ・アディクション、パール・ジャムなどみられる王道オルタナロックバンドです。このアルバムの特徴は英国ロックにインスパイアされていてレッドツェペリンの様な骨太な演奏と、ビートルズの持っているメロウなメロディを併せ持っていること。とてもかっこいいです。ニルヴァーナのカート、パールジャムのエディ、そしてサウンドガーデンのクリス・コーネル(Vo)はこの時代のカリスマだと思います。ロック好きにぜひ聞いてほしい推薦版です!!

⑨BLONDE REDHEAD (ブロンド・レッドヘッド)-『In an Expression of the Inexpressible』

1998年にタッチ・アンド・ゴーレコードからリリース。通算4枚目のアルバム。今作からフガジのガイ・ピチョットがたずさわっています。サウンドはソニック・ユースを速くした感じと例えられることが多いみたいですが、実際そういったフレーバーもありつつ激しいギターノイズもあり、DNAというバンドの曲名からバンド名を付けただけあって、ノーウェイブ直系のアートパンクな印象もあります。ニューヨークのバンドでメンバーは日本人女性のカズ・マキノとマキ・タカハシ、そしてイタリア人の双子アメデオ兄弟によって構成。カズ・マキノの声はひたすら耽美で不思議な色気を放っています。

⑩The Smashing Pumpkins(スマッシング・パンプキンズ)-『Gish』

1991年8月にドロップされたんですが、同年9月に発売されたニルヴァーナの『Nevermind』のインパクトによって完全にかき消されてしまって、スマパンの代表作は次のアルバム『Siamese Dream』となっているんだけど、『Gish』は普通に最高傑作です!!『Nevermind』同様、プロデューサーはブッチ・ヴィグでキャロラインというインディレーベルから出しています。メンバーはビリー・コーガン(Vo)、ジェームス・イハ(G)、ダーシー・レッキー(B)、ジミー・チェンバレン(Dr)。サウンドはニルヴァーナやマッド・ハニー、ソニック・ユースが好きな人だと絶対ハマるはず!!ジミー・チェンバレンの激烈ドラムを中心にうねるようにドライブするアンサンブル、ビリー・コーガンのちょっと変なクセになるボーカルもカッコよし!!サブスクでも中古CD屋さんでも手に取りやすい状態にあるのでぜひ試してみてくださいね!!

最後に

今回はこんな感じの名盤紹介でした。作品一つひとつの内容もいいのですが、ジャケットのアートワークやその時代の雰囲気がまとわりついているオルタナティブロックはやっぱりかっこいいですね。90年代のこの近辺のバンドをもう少し紹介しつつ、今後はHIP HOP、昭和フォーク、JAZZ、CITY POPなんかも掘り下げていこうかなと思います。この記事を書いている今、北海道はまだ10月なのにダウンジャケットを着ても差し支えないくらいの気温まで下がっていてとても寒いです。今回レビューした様な元気な音楽を聴いて耐え忍ぶことにします。

Barbour(バブアー)|ブランド紹介

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今回はBarbour(バブアー)について。

https://www.japan.barbour.com/www.japan.barbour.com

1984年、スコットランド南西部のキャロウェイ地方に農家を営む旧家の次男として生まれたジョン・バブアー。
1870年に布地の行商を始めていたジョンは、24年の歳月を経て1984年にJ Barbour & Sonsを設立。
これがバブアーの始まりで歴史あるブランドヒストリーのスタート。
創業地に選んだのはイングランド北東部にあるサウス・シールズという港町。
北海に面していて全長118kmの大きなタイン川に位置するこの町は、厳しい寒さや不順な天候の元で働く水夫、猟師、港湾労働者のための作業服が必要不可欠。
この状況に目をつけたジョンは高密度に織られたコットンクロスにワックスを染み込ませた新しいアウターを開発します。

*「防水」 * 「防風」 * 「丈夫」 三拍子揃ったアウターは現代でいうところのゴアテックスみたいな感じじゃなかったのかなと思います。
このジャケットがサウス・シールズの労働者へ広まり、どんどん普及していくことに。

20世紀になると経営は息子のマルコム・バウアーへと代わり、彼は海外へと市場を拡大していきます。
1908年にブランドとして初のカタログも発行。
小さな家族経営でしかないブランドがカタログを作ることも当時はすごく珍しいことだったらしいです。
マルコムの努力が実を結ぶ1920年代に知名度は世界規模へとなっていきます。
バブアーは初期のモデルヘイドンジャケットが有名ですが、モーターサイクリストだった3代目のダンカン・バウアーが作ったモーターサイクルジャケットは現在も不動の人気を得ています。
「バイクのようなスピードの出る乗り物でそんな気候条件でも快適に運転ができるウェア」を目指したそう。
当時、世界ではバイクのトライアルレースが頻繁に行われていて、このジャケットがバイヤーたちの間で広がり、ヒットしていきます。

決定打となったのは1964年、アメリカの俳優スティーブ・マックイーンの着用。
それ以降も高い機能性が評価され、軍で使われたり、2000年以降はよりカジュアルでタウンユースの定番アイテムとしてセレクトショップなどで取り扱われたり、ヴィンテージが古着屋などに陳列されていたりしています。
歴史もあるし、かっこいいブランドですよね。
結構古着でも値段が張るし、なかなか手が出ないですが、2着、3着と持っておきたいブランドです。
歴史を知ると目線が変わり、着るのが楽しくなるんじゃないかなと思います。
では、また。

SIERRA DESIGNS (シエラデザインズ)|ブランド紹介

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ブランドの代名詞「60/40クロス」、通称「ロクヨン」素材を使用したマウンテンパーカーやダウンジャケットでおなじみのシェラデザインズ。
セレクト好きから古着好きまで対応し、幅広く愛されているSIERRA DESIGNS (シエラデザインズ)を今回は紹介します。
今更感もあるけどやっぱりいいブランドだし、おさらいの意味も含めてということで。

sierra-designs.jp

1965年にアメリカ カリフォルニア州でスタート。
創立者はボブ・スワンソンとジョージ・マークスというふたりの青年。
自分たちがアウトドアで培った経験をギアに活かしたいという願いからブランドが始まります。

1968年には現在においても人気のあるマテリアルでブランドの定番素材である60/40クロスを使用したマウンテンパーカーを発売。
現在のアウター・シェルジャケットの原点となり、アメリカで大ヒットします。
今ではゴアテックスを始めいろんな防水機能を備えたファブリックがあるけれど、当時は60/40クロスに勝る高機能ファブリックは存在せず、ものすごく注目を浴びたそうです。

1980年代になると、マウンテンパーカーはタウンユースとして使うスタイルが流行。
今でもその余波は確実に残っていて、アメカジクラシックを好む人やアウトドアに使用する人、ヘビーデューティースタイルを愛する人に支持され続けています。
良セレクトショップで展開されるのも納得だし、MADE IN U.S.A.製のクラシックな雰囲気を楽しめるとてもいいブランドだと思います。

今ではマウンテンパーカーやタウンギア以外にもシャツやパーカー、コートなどいろんなアイテムが作られているので興味があればチェックしてみてくださいね。
ちなみにぼくはオレンジの60/40クロスのマウンテンパーカーを何年も愛用させてもらってます。
やっぱり持っておくべきはこのマウンテンパーカーなんじゃないかなと個人的に思っています。