shigashiga’s diary

ファッションと音楽のつながりをCDレビューを通して紹介・考察するブログです。

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -9

マイナーなものやらメジャーなものまで今回も紹介!!

①Vision Of Disorde(ヴィジョン・オブ・ディスオーダー)-『Imprint』

そこら辺に掃いて捨てるほどいるメタル・スクリーモ系バンドがかすむほどの重低音と凶暴性を孕んでいるバンド。
スクリームを通り越して咆哮するボーカル。
とにかく激しいリズム隊と雷のような切れ味のあるギターで終始暴れまくるうるさいナンバーばかり!!

90’sニュースクールハードコアの代表格。

1stもすごかったけど、どちらか選べと言われたら断然こっち。
血管ブチギレサウンド。
日本版のボーナストラックにはバッド・ブレインズのカバー「Soul Craft」収録!!
ストレス発散させるにはもってこいのアルバム。
1998年、ロード・ランナーからのリリースです。

②Codeine(コデイン)-『The White Birch』

前にも紹介したことのあるバンドになります。
今回は2ndアルバムの紹介。

BPもゆっくりめで前作にも増して不穏な雰囲気。
スリントなどのルイヴィル近辺がイケる人ならハマると思います。

静と動のコントラストもいいし、ジャケットの景色がそのまま音像化したようなサウンドになっています。
スローコアの大名盤といえると思います。
前作『Frigid Stars Lp』に続き、いい作品です。

③Universal Order Of Armageddon(ユニバーサル・オーダー・オブ・アルマゲドン)-『Universal Order Of Armageddon』

90年代前半から中期頃まで活動していたカオティックハードコアバンド。
リズム隊はBorn Againstのメンバーで硬めギターはトニー・ジョイ。
絶対ハズレなしのクオリティ!!
前にも紹介した The Great UnravelingやMoss Icon、The Convocatioなども彼の関連作。

サウンドの方は激情でエモーティブ、スピード感があります。

マイナーなバンドですがコンバージにも影響を与えていたそうです。
激しいながらもどこか知的な佇まいな彼らですがライブはかなりアグレッシブだったとか。
KILL ROCK STARSからのリリース。
1996年の作品です。

▶︎ Universal Order Of Armageddon - Universal Order Of Armageddon 12" - YouTube

④Orange 9mm(オレンジ・ナインミリメーター)-『Tragic』

ハードコアの名レーベルであるレベレーション・レコーズから2枚のEPを出していたり(どちらもGood!)、日本のミクスチャーバンド、バック・ドロップ・ボムともスプリットを出したりもしている実力派ミクスチャーハードコアバンド。
今作は96年発売のアルバム。

元BURN(ハードコアバンド)のボーカルであるチャカ・マリクが中心となって結成されたバンド。
ギターのリフはどことなくヘルメットフレーバーでありながらレイジのようなラップでたたみかけるようなスリリングなサウンド。
個人的にはこういうバンドはすごく好き!!

⑤Rorschach.inc(ロールシャッハ)-『Autopsy』

ニュージャージー州出身の彼らは、コンバージのようなサウンドでスローナンバーやスラッシーな曲、ファストコアから変則的なヘヴィなものまでとにかく多様性があり雑食性の高いバンドでした。 かなりマイナーなバンドですがこれぞカオティックハードコアなバンドです!!
今作は編集盤になるのですがバラつきも感じないくらいまとまり感がありヘヴィかつすんなりと最後まで聞ける内容になっております。

キス・イット・グッバイでも活躍するメンバーも在籍していました。
今作は1989〜1993年までの活動期間中に発表した音源をまとめたもの。
全31曲のショートチューン。

⑥The Folk Implosion(ザ・フォーク・インプロージョン)-『Dare to Be Surprised』

ダイナソーJr.やセバドーのルー・バロウがパーソナルなベッドルームロックを始めようとジョン・デイヴィスを誘って始まったのがザ・フォーク・インプロージョン。
ローファイムーブメントど真ん中に発売された2ndアルバム。
本作の録音はほとんどデジタル録音でチープな電子音を散りばめたモダンなPOPといった感じの隠れ名作!!
1997年、The Communion Labelからのリリース。
いいアルバムです!!

▶︎ https://youtu.be/YxRdNM1hIik Dare To Be Surprised - YouTube

⑦Mike Watt(マイク・ワット)-『Ball-Hog or Tugboat?』

ミニットメン、ファイヤーホースなどでも有名なカリスマ、マイク・ワット。
今作はそんな彼のソロアルバムです!!

再結時のザ・ストゥージズへの参加や多くのミュージシャンから一目置かれる彼が発売したアルバムになり、内容の方もかなりの秀作。
パンキッシュなものからスローなものまで揃っていて、16曲目ではファンカデリックのカバー「Maggot Brain」をカバー。
サーストン・ムーアやデイヴ・グロールもゲスト参加しています。
1995年の作品。

世界的にヒットする前、そして有名人になる前のインディ時代の彼らの作品。
野心と勢いと情熱がほとばしり、疾走感が溢れるメロディックなアルバムです。
彼らの作品で一番好き。

12曲目「Wasting Time」、16曲目「Depends」がおすすめ。
うーん、全部いい曲ばかりで捨て曲なし!!
1994年発売。

⑨Red Red Meat(レッド・レッド・ミート)-『Bunny Gets Paid』

こちらはシカゴのバンド、レッド・レッド・ミート。
1995年発売の4枚目のアルバムです。

名門SUB POPからのリリース。
シカゴエリアのブルースに影響を受けたオルタナティブロックを展開。
ブルージーな渋い曲がたくさん収録されています。

エモやポストロックに通じるサウンドになっていて、2009年にデラックスエディションとして2枚組になって再発されています。
オリジナル版よりこちらがおすすめ。 2枚目の3曲目「words」はスロウコア、サッドコアの代表バンドである「LOW」のカバー。
全体的に乾いたクールなサウンド。

⑩The Jesus Lizard(ジーザス・リザード)-『Liar』

前にも紹介したスクラッチ・アシッドのボーカルとベースを含んだポストハードコアバンド。
テキサス出身でシカゴを拠点に活動していたバンドの3rdアルバム。
エンジニアはスティーヴ・アルビニ。

デヴィッド・ヨウのダーティなボーカルとスピード感のあるギター、不穏なリズム隊が一体となった彼らを代表する1枚だと思います!!
無駄がなく、とにかくシャープに繰り出されるサウンドはとてもスリリング。 ニルヴァーナとスプリットも出していてカートとも親交があったようです。 今作はタッチ・アンド・ゴーから1992年にリリースされています!! 荒くれスタイルは本当にかっこいい!

最後に

今回はここまで。
次回は日本のバンドを紹介していきます。

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -8

またまた紹介していきます!!
90年代ロック名盤スタート!!

①Stretch Arm Strong(ストレッチアームストロング)-『COMPASSION FILLS THE VOID』

1992年〜2005年まで活動していたサウスカロライナ州出身の激エモーティブなハードコアバンド。
スウェーデンのREFUSEやReach The Sky、BANEなどにみられるNEW SCHOOLタイプのサウンドです。
今作は1997年、RISEからのリリースです。

終始ハイテンションで暴れたくなるような早く激しいスタイルが彼の特徴。
曲のクオリティも良い!!
ストレートでかっこいいバンドです。

②Sunny Day Real Estate(サニー・デイ・リアル・エステイト)-『How It Feels to Be Something On』

後にフーファイターズで活躍するネイト・メンデル(B)とウィリアム・ゴールドスミス(Dr)が在籍していたシアトルのエモバンド。
この作品は2人がフーファイターズ加入によって一旦解散した後、1997年に再結成してリリースされた3枚目のアルバム。
ボーカルのジェレミー・エニックの感情の起伏をそのまま音像化したような生々しい楽曲ばかり。

「EMO」というジャンルを語る上でも避けては通れないほどの大名盤。
1st、2nd、EP、全作品が秀逸。
1998年発表。

③Foo Fighters(フー・ファイターズ)-『The Colour and the Shape』

言わずと知れたフーファイ2nd。
大名盤!!

プロデュースはピクシーズなどでもお馴染みギル・ノートン。
②でサニー・デイ・リアル・エステイトを紹介した流れで紹介します!!

1stのインパクトも凄まじかったのですがこの2ndはクオリティがさらにUPしています。
2曲目「Monkey Wrench」、11曲目の「Everlong」は何回聴いたことか…。
元ニルヴァーナの肩書きは不要となった最強のアルバム。
1997年の作品です。

④Sleater-Kinney(スリーター・キニー)-『Dig Me Out』

オリンピア産。
スリーピースガールズバンド。

彼女たちはもう最高の一言に尽きる!!

スピーディでパンキッシュ。
当時のフェミニズム的思想にも影響力が大きかったのでは。
メンバーはキャリー(Vo・G)とコリン(Vo・G)、そしてクワージでも叩くジャネット(Dr)の3人組。
ストレートで真っ直ぐなサウンド!!

ジャケットはキンクスへのオマージュらしいです。
1997年にKill Rock Starsからのリリース。
プロデュースはジョン・グッドマンソン。
ガールズロック好きにおすすめ!!

⑤The Offspring(オフスプリング)-『Offspring』

ボーカルのデクスター・ホーランド自身のレーベルNITRO、Nemesis Records両方からのリリース。
1stアルバムです。

彼らの代表作である『SMASH』がインディでありながら1300万枚を売り上げており、日本でもグリーンデイ『Dookie』と同じくらい人気が出ていたので知っている人も多いはずですが、この1stは見落とされがち。

スマッシュのイメージでどうせメロコアでしょと思っている方は侮るなかれ。

こっちの方が角が立っていてとても凶暴で攻撃的。
尖り具合でいえばこの1stとエピタフからの2nd『イグニション』はかなりのもの。メロコアというにはあまりにもアグレッシブでハードコア的と言ったほうがいいのかも。
ジャケも不穏な感じ。
1995年のアルバム。

⑥Sweetbelly Freakdown(スイートベリー・フリークダウン)-『Sweetbelly Freakdown』

DAG NASTYの初代ヴォーカリストで後にSWIZを結成するショーン・ブラウンのバンド。
SWIZのメンバー、ジェイソン・ファレルとアレックス・ダニエルズも加入した4ピースバンドで、ジェイソン・ファレルはBLUETIPやレティソニックスなどでも活躍しています。

プロデュースはJ.ロビンスでこちらも文句なしの内容です。
どことなくFUGAZIの『Repeater』のような激情型のサウンド。
シャキッとした音と、時にエモーティブでありながら全体的にタイトで切れ味のある作品。
JADE TREEからのリリース。

▶︎ Sweetbelly Freakdown — Jade Tree

⑦Pulley(プーリー)-『60 Cycle Hum』

こちらはメロコアバンド。
Face to Face、Ten Foot Poleの元メンバーを要する実力バンド。
特に元Ten Foot Poleのボーカル、スコットの声がたまらなくかっこいい!!

終始疾走感のあるナンバーが目白押し。
エピタフからのリリースでクオリティも間違いなし。 1997年の作品。

5曲目の「Mandigo」がおすすめ。
この時期だからこそ醸し出せるやさぐれ感のあるカッコ良いバンドです!!

⑧Ten Foot Pole(テンフットポール)-『Rev』

1994年エピタフからリリースされた作品。
Pulleyのボーカルであるスコットのバンド。
プーリーに負けず劣らずなメロコアパンクスピリット。
こっちの方がより渋みを帯びている感じです。

当時、日本のバンド、Hi-STANDARDとも交流があり、そこそこ人気だったようです!!
ジャケットはシュールな感じですが、内容は文句なし!!

⑨Pond(ポンド)-『Rock Collection』

当時も今もなんかパッとしない印象のバンドでしたが、内容はしっかりオルタナティブでロックしていると思います!!
バラエティに富んだ作風と内容になっています。

一応、エモと言えなくない感じもあり割とWeezerに近いサウンドと言えるかも。
世間からは忘れ去られていますが、とってもエモーい作品。
意外と結構かっこいい。

当時はポストサブポップサウンドとして高評価されていたんだけどなあ…。
1997年の素敵なアルバム。

▶︎ Pond - Rock Collection (Full Album) - YouTube

⑩corm(コーム)-『AUDIO FLAME KIT』

1990〜1997年まで活動したワシントンDC出身のバンド。
Q And Not Youの前身バンドでギターのジョン・デイヴィスが中心となって結成されています。 BRAID(ブレイド)やHoover(フーヴァー)、SLEEPYTIME TRIO(スリーピータイム・トリオ)にも通じる変速リズムが特徴。
ヒリヒリした感じとポストハードコア的なアプローチも知的。
Q And Not Youの『No Kill No Beep Beep』に近い感じのサウンドです。
ディスコード系が好きな人にもおすすめの1枚。

良レーベルポリヴァイナル・レコーズからのリリース。
激プッシュ!!

最後に

今回はここまで。
また次回!!

90’sグランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -7

特集を組んではや第7弾。
改めて聴き直したり調べ直したりしていると再度良さを確認できてどんどんおもしろくなってきました。
今回もスタート!!

①Meat Puppets(ミート・パペッツ)-『Meat Puppets II』

ブラック・フラッグのGreg Ginnのレーベル「SST」からの2ndアルバム。
1984年の作品です。

彼らはカート・コバーンにも愛され、ニルヴァーナの『アンプラグド』でも演奏された3曲もこのアルバムに収録されています。
4曲目「Plateau」、9曲目「Oh Me」、10曲目「Lake Of Fire」は名曲。
カートの声で聴くのもいいですが、オリジナルもGOOD!!

作品全体としてはスピードのあるショートチューンとカントリーやブルースなどのルーツ的要素を差し込んで引き倒したていたりとかなり異色の音楽感覚。
バッド・ブレインズが自らのルーツであるレゲエを差し込んでいる感覚やビースティ・ボーイズの1stでみられるヒップホップフレーバーの差し込みにも似た感じあると勝手に思ってます。

90年代のバンドではないけど重要作品ということで!!

②Meat Puppets(ミート・パペッツ)-『Up on the Sun』

ミート・パペッツの3rdアルバム。
2ndのルーツ的要素であるカントリー、ウエスタン、フォーク色がより強まった作風。

よくグレイトフル・デッドの影響を受けているって言われているバンドなんだけど、今回はまさにそれ。
もはやサイケ感すら漂っています。

今作もSSTからのリリースなんですが、このレーベルの特徴ってゴリゴリのハードコア主体なんだけど、まれにこういうセンスあるリリースもしてくれるナイスなレーベルなんですよね。

気だるい声とゆるいサウンド、でもオルタナ精神はしっかり宿っているセンスあるパンクバンドです!!
1985年のリリース。

③Nine Inch Nails(ナイン・インチ・ネイルズ)-『The Downward Spiral』

ナイン・インチ・ネイルズはトレント・レズナー(Vo .Key他)のイメージした世界観を音楽へ反映させたソロユニットで、ジャンク、メタル、ハードコア、ノイズ、エレクトロ、ボディビートなどをミックスさせたインダストリアルミュージックが特徴。

狂気のサウンドとは、多分こんな音のことを言うのかも。

過激なライブパフォーマンス、PVなども後世に与えている影響はかなり大きい!!
90年代はニルヴァーナイヤーなのは間違いないのですが、ナイン・インチ・ネイルズもぜひ体験してみてください。

カナギリ音と高速シャウト、ヒップホップ的な曲やパンキッシュなアプローチまで、かなりの雑食性がうかがえます。

すごいことに、演奏のほとんどはレズナーひとりがやっていること。
混沌とした精神がそのまま音になったような作品。
1994年の作品。

ちなみに、日本盤のボーナスはジョイ・ディヴィジョンの「デッドソウル」を収録しています!!

④KEPONE(ケポネ)-『KEPONE』

バージニア州リッチモンドのバンド。
この変なバンド名は1970年代に発生したリッチモンドで起きたケポネ危機に由来しているそうです。

タッチ・アンド・ゴーの姉妹レーベルであるクォーターステックからのリリースで1997年の作品になります。

サウンドはシェラックのボブ・ウェストンが手がけています。
ハードめなインディロックっていう感じでなんとなくリーザス・リザードフレーバーもありつつという感じが個人的に気に入っているところ。

ギターもザクザクでパンキッシュ。
マイナーですがおすすめ!!

⑤THUMB(サム)-『Exposure』

謎のオールドアメリカチックな変なジャケット…。
しかし内容はレイジ並みのゴリゴリミクスチャーハードコアサウンドを展開!!

シカゴのゴリゴリハードコアレーベル、ヴィクトリー・レコーズからのリリースで1997年の作品です。このレーベルは間違いなしのバンドばかり!

TB(トータリーボード)シリーズというスノーボードのVHSシリーズで曲が使われていたり、横ノリにもマッチングするようなパワー全開な勢いのあるバンド!!

ちなみにメンバーの服もとてもおしゃれ。
アルバムのクレジットにはXLARGE、Dickies、BLACKFLYSなどアパレルメーカーのスポンサー名も記載。

捨て曲はなし。
文句なしの内容です!!

⑥Morning Again(モーニングアゲイン)-『As Tradition Dies Slowly』

1998年、レベレーション・レコーズからのリリース。
不穏な雰囲気、そしてブルータルで脅威的なメタルサウンドは怖さすら感じてしまうほど!!
激しいのが好きな人にもってこいですね。

彼らはフロリダ出身で、ただ激しいサウンドだけじゃなくストレートエッジやビーガン、反政府思想などを持っていた結構プロテスタントなバンドだったみたいです。

バンド消滅後、Culture(カルチャー)、Shai Hulud(シャイ・ハルド)、As Friends Rust(アズフレンズラスト)といったバンドに派生。
どのバンドもカッコよしです!!

▶︎ Morning Again - As Tradition Dies Slowly (full album) - YouTube

⑦Pavement)(ペイヴメント)-『Crooked Rain, Crooked Rain』

もう最高!!
ポップなセンスとミドルテンポな曲調が多く、とても聴きやすいアルバム。

彼らは90年代のローファイシーンを象徴するバンドでスティーヴン・マルクマスとスコット・カンバーグによってカリフォルニアで結成。
この頃のドラマーは酒癖の悪さが祟って脱退。
その後、新しいドラマーのスティーブ・ウェストを迎え、NYでレコーディングしたのが今作。

ドラマーがチェンジしたことによって今までになかった力強いグルーブがもたらされ、クオリティが増し、バンドを代表する作品になっています。
明快なリフや能天気なコーラスが心地よいドライブ感を与えてくれます。

元気がないとき、落ち込んでいるときに聴きたいアルバム。
1994年発売。

⑧No Use for a Name(ノー・ユース・フォー・ア・ネイム)-『Making Friends』

アメリカ、サンノゼにて結成。このアルバムは1997年の作品。
当時、メロコア好きには必聴のバンドとして挙げられる程有名なバンドでした。
文句なしのかっこいいロックを聴かせてくれます!!

疾走感、メロウさ、そしてなんといってもボーカルのトニー・スライの渋いボーカル。
90年代の横ノリカルチャーとリンクして、当時ハイスタなんかと一緒にこの日本でも大人気でした。

前に紹介したラグワゴンと共にFat Wreck Chords(ファット・レック・コーズ:NOFXのレーベル)を代表するバンドでもあります!!

1999〜2000年代に入ると、よりエモーショナルなスタイルへ変化していきます。
中でも『More Betterness!』と『Hard Rock Bottom』はエモ史にも輝く名盤になっています。
全アルバムチェックしても損なしですよ!!

⑨G. Love & Special Sauce(G・ラヴ&スペシャル・ソース)-『G. Love and Special Sauce』

彼らはフィラデルフィア発のオルタナティブブルースバンド。
今作は1994年にブルースの老舗レーベル、オーケーからのリリースで1stアルバムになります。

ルーツサウンドへのこだわりやヒッポヒッポへの愛情が合わさり、今作はブルースとヒップホップが融合したかのようなサウンドを聴かせてくれます。
気だるい感じやストリートっぽい泥臭さもうかかがえます。
ジャケットも含めとにかくおしゃれな仕上がりになっていますよ。

自然体であることやラフなサウンドはジャック・ジョンソン周辺のアーティストたちにも多大な影響を与えることに。
激しいロックではないですが、とにかくかっこよいブルージーなサウンドは一聴の価値ありです!!ヒップホップが好きな人にもおすすめです。

⑩™Himsa(ヒムサ)-『Ground Breaking Ceremony』

シアトル出身のカオティックハードコアバンド。
バンド名はサンスクリット語で「危機」「暴力を意味する「ヒムサ」が由来しているそうです。

サウンドはその名を体現するような凶悪でブルータル。
彼らはこの作品と2枚のEP以降は本格的にヘヴィメタルなサウンドへとスタイルチェンジしていくことに。

個人的にはこのアルバムと2枚のEPが好きなので断然こっちの方がおすすめ」!!
ハードコアレーベルのレベレーションからリリース。

激しく狂った絶叫スクリームが聴きたい人にぜひ!!
ぶっ飛ばされます!!

▶︎ Himsa - Ground Breaking Ceremony [Full Album] - YouTube

最後に

今回はここまで。
今回はミート・パペッツなど90年代のバンドではないのですが、ルーツ的なものも少し含ませてレビューしました。
中には少し難解なバンドやサウンドもあるかもしれませんが是非トライしてみてくださいね。

ナイン・インチ・ネイルズやG. Loveなんかは僕も最初は「なんかとっつきにくい音楽だな」って思っていましたが、評論家の評価も高く、周りもすごいって言っているし、試しに聴き続けてたらある時バチっと感性がハマるっていう事が結構あったんですよね。
同系統のミュージシャンやブルースなどのルーツミュージックを調べていたら、そのとき、やっと彼らのすごさに気づかされました。

今では僕が初めて体験したときよりも多種多様なサウンドで溢れかえっているし、今の方がすんなり感覚に馴染みやすいと思うので‼︎

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -6

前回に続き、USバンドのレビューです!!
今回はエモやポストロック的なアプローチのバンドを紹介していけたらと思います。

①Falling Forward(フォーリング・フォワード)-『Hand Me Down』

ケンタッキー州ルイビルのエモーショナルハードコアバンドになります。
静と動のコントラストがしっかりしていてとてもきれいなサウンド。そして少しだけノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。かなりクオリティの高いバンドではあるのですが、
中々の知名度の低さ…。勿体無さすぎだと思います!

のちにメンバーがELIOTTやKILOWATTHOURSといったバンドに発展していきます。
まさにELIOTTの前身バンドといった感じのサウンドになっています。

Hot Water Musicが好きな人にも受けそう。
1994年の作品。

▶︎ Falling Forward "Hand Me Down" (Full LP) - YouTube

②Don Caballero(ドン・キャバレロ)-『For Respect』

アルビニ録音のデビュー1stアルバム。
マスロックの源流ともいわれているドン・キャバレロは個人の名前っぽいネーミングだけど意外にバンド名なんですよね。

サウンドの方はインストロックで変拍子も多用し、かなり熱くロックしている感じです。彼らの代表作は4枚の「American Don」という作品になるんだけど、この1stの方がよりカオティックな緊迫感で包まれていてかっこいいと思っています。

ボーカルなしのインストはちょっと…と思っている人にこそおすすめ。マスロックというジャンルのパイオニア、そして楽器だけでここまで表現力を出せるものすごい人達です!!

1993年作、タッチアンドゴーからのリリース。

③Scratch Acid(スクラッチ・アシッド)-『The Greatest Gift』

ジーザス・リザードのデヴィッド・ヨウがまだテキサスに住んでいた頃に結成していたバンド。
メンバーもなかなかの経歴でDavid Wm. Sims(B)、元ビッグ・ボーイズでのちにミニストリーに加入することになるレイ・ウォシャム(Dr)などそうそうたるメンツ。

これらは彼らによる編集版で84〜87年発売の2枚のLPと1枚のEPで構成されています。

気になるサウンドの方はというと、かなりの変態性溢れるパンク?ロック。ニック・ケイヴに影響されたようなボーカルスタイルでサーフ・カントリー色も強く、なかなかの怪しさと凶暴性、そして中毒性もあり!!

カート・コバーンも好きだったバンドです!!ジーザス・リザードはニルヴァーナとカップリングCDも出してますよ。1991年作。

④Seam(シーム)-『The Problem with Me』

ビッチ・マグネットというポストロック・ポストコアの源流を作り上げたバンドのフロントマン、スーヤン・パークが在籍のギターバンド。
スタート当初はスーパーチャンクのマック・マコーンがドラムだったのも有名。

スーパーチャンクと同じチャペルヒルからシカゴへ移ってからの2ndアルバムである『The Problem with Me』は静と動のシームレスな移ろいと韓国系アメリカ人、スーヤン・パークのストレートでピュアな歌声も魅力。1993年発売でこちらもタッチアンドゴーからのリリース。
ジャケットのアートワークもキレイ。

⑤Mineral(ミネラル)-『Power of Failing』

エモーい!!
ナイーブなボーカルスタイルとサビの部分では胸の奥を掻きむしるような熱いギターが響き渡る、これぞ大道といったエモコアスタイル!!クリス・シンプソンの今にも泣き出しそうな歌いまわしはWEEZER並みかも。

ジャケットアートワークもとてもエモーショナルな感じ。アルバムを通してアップテンポな曲とスローテンポな曲、両方バランスいい配分でとても聴きやすい作品。

Crank!というインディレーベルからのリリースです。1997年発。
テキサスのクラシックエモバンドの1stアルバム!!

⑥The Rentals(レンタルズ)-『Return of the Rentals』

ウィーザーのベーシスト、マット・シャープのバンド。
特徴はアナログシンセやヴァイオリンをフィーチャーしているところ。

電子音+弦楽器の効果か、全体をとおして素朴な雰囲気とどこかレトロな感じが漂っています。
こちらもウィーザーに負けずかなりのPOPサウンド。キレッキレのサウンドとうねるムーグ。
2曲なんかは女性コーラスが絡んだりも!!

『Return of the Rentals』で手応えがあったマットはウィーザーを脱退し、レンタルズに専念していくことになります。1995年の作品。

ジャケットもナードな感じでとても好き!!

⑦COPPER(コッパー)-『Drag Queen』

Equal Vision Recordというハードコアレーベルからのリリースになります。
本作は1996年発売でジャンルでいうとポストハードコア、エモにあたります。

テキサス・イズ・ザ・リーズンや初期のセンス・フィールドのようなスタイルで、実際テキサス・イズ・ザ・リーズンのベースも在籍していたバンドなのでその周辺のバンドとは親和性も高いです。

どこかヒリヒリした感じもとても良し。
ミドルテンポ・アップテンポのバランスもとても聴きやすい良盤です。
マイナーなバンドですがぜひ!!
このバンドもエモーい!!

▶︎ Copper - Drag Queen (full) - YouTube

⑧Shades Apart(シェイズ・アパート)-『Save It』

ニュージャージー州出身の3ピースバンド。
ハードコアのもっている高速感や疾走感に哀愁を帯びたダークなメロディとボーカルが乗っかっている感じのスタイル。

要は、激シブでかっこいい!!ということ。

こちらはレベレーション・レコードからのリリースで、この日本では今も当時もマイナーなバンドです。作品ごとに音のスタイルが変化していて実験性の高いバンドなのですが、一貫して全てのクオリティが高く、ハードコアマナーを保っているのも彼らの凄さ。

『Save It』は1995年の作品で、ALL、Descendentsのビル・スティーブンソンとステファン・エガートンの名コンビがエンジニアを担当しています。
ALLやDescendentsのような疾走感や変拍子も加わり、オリジナリティのある作品になっています。

とてもエモーショナル!!

▶︎ Shades Apart - Save It. (Full Album) - YouTube

⑨State Of The Nation(ステイト・オブ・ザ・ネイション)-『State Of The Nation』

こちらもレベレーション・レコードより1995年のリリース。
ミドルテンポなハードコアナンバーがずらりと並び、3ピースバンドとは思えないほど分厚さを感じるサウンドです。

このバンドは紹介した割には詳しいことがいまだにわかっていません(すみません…)。
わかっているのはジャケットアートワークのレイアウトがブルーチップ、レティソニックのジェイソン・ファレルだということ。レベレーション・レコードという名門レーベルの初期のカタログだということと3ピースバンドであること。

そして疑いなく名盤で非常にかっこいい!!
スノーボード、スケートのBGMにももってこい。

地元のタワレコで100円コーナーにぶち込まれているもを掘り出して、それをいまだにもっているんですが、誰に聞いても、ネットで調べても何もわからず…。多分この1枚で終わったバンドなんでしょうけと、勝手に隠れ名盤だと信じています。

⑩Nada Surf(ナダ・サーフ)-『High/Low』

1992年にニューヨークで結成されたバンド。
一応アメリカのオルタナティブロックバンドの括りに入っていて、エモやギターロック好きにもハマる軽快な音を主軸としている感じ。3曲目の「Popular」がちょっとだけ有名。

ちなみにプロデュースはThe Cars(カーズ)のリック・オケイセックです。
2002年の『Let Go』、2012年の『The Stars Are Indifferent To Astronomy』。
そして最近の作品である2020年の『Never Not Together』というアルバムが彼らのカタログの中では好印象。

どれもメロウでいい作品。天気が良い日のお出かけにぴったりなサウンド。

最後に

また次回へ続きます。
次は90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -7です。

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -5

またまたレビュー編。
前回は日本のバンドにフォーカスしましたが、
今回はUSバンドに焦点戻しての戻しての10選です。
お付き合いください!!

①Codeine(コデイン)-『Frigid Stars Lp』

1991年、サブポップからのリリース。いわゆるスロウコア・サッドコアの系譜にあたるバンド。グランジブーム真っ只中にこのテンションの低さったらないです!!

ヘビーでスローなエモーション。たゆたうビートはサイケ感も放出しています。スロウコア・サッドコア近辺のバンドの中だと伝説化しているほど。とても静かなロックバンド。

そしてこのバンドから、プルマン、ザ・ニュー・イヤー、ヒム、シッピング・ニュースと派生していくことに。うるさい音楽に疲れた方に青く灯してくれる優しい音楽となっておりますよ。

②Shellac(シェラック)-『Terraform』

グランジ以降、1998年発表。
スティーブ・アルビニ率いるシェラックの2ndアルバム。

無機質で攻撃的、アルビニ関連の作品ってどれもいいのですが、中でもやっぱり自身のバンド、シェラックが一番好きなんですがこの『Terraform』が特に好き。

メンバーはアルビニ自身とボブ・ウェストン、トッド・トレーナーの3人。アルビニはニルヴァーナ、イギー・ポップ、スーパーチャンク(前々回紹介しました)など、数えきれないくらい様々な仕事に携わっているので知っている人も多いはず。そんな彼のポストハードコアバンドです。
かっこいいですよ!!

③Bedhead(ベドヘッド)-『Transaction De Novo』

こちらもサッドコアバンド。ノイジーなギターが空間を埋めていく様がこのジャンルの由来になっているのではといわれています。なんとなく80'sのUKギターバンドみたいな雰囲気も醸し出しているような感じもあり、前述のコデインよりも若干聴きやすいかも。

『Transaction De Novo』は1998年の彼らのラスト作。
そしてアルビニ録音です。

LOWと並んでサッドコアの代表的なバンドでボーカルのマット・カデインの叙情性のある歌いまわしがとてもクセになります。タッチアンドゴーからのリリースです。

④Earth(アース)- 『earth2』

1993年サブポップからのリリース。
このバンドはイっちゃっているの一言しかないです。

緩急も抑揚も何もなく、ただひたすら重低音のリフが鳴り響いているだけのサウンド。しかし、カート・コバーンも彼らを支持し、Sunn O)))(サンオー)も彼らに多大な影響を受けたそう。

怪盤中の怪盤!!
たった3曲で73分弱。

大半の人は「えっ…なにこれ」って絶対思います。僕も初めて聴いたときはなんのための音なんだろうって思いましたし。
でも聴く頻度を意識的に増やし、何も考えないで聴いていたらこれがまた結構、というかかなりかっこいい。

よく言えば前衛的、悪く言えば難解。
ハマる人にはハマるっていう感じです。
究極のドローンミュージックです!!

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⑤A Minor Forest(マイナーフォレスト)-『Flemish Altruism』

彼らは1992〜1999年に活動していたサンフランシスコのポストハードコアバンド。
彼らもまた、グランジの喧騒の中、表舞台ではほぼ語られることのないバンドでしたが、この作品はシカゴのスリルジョッキーという名インディーレーベルからのリリース。

エンジニアはスティーブ・アルビニを起用しており、夜霧のような冷たいもやもや感とヒリヒリとした雰囲気のある、スリントやロウをもう少し狂気じみた感じのカオティックな作品に仕上げています。

1996年発売の彼らの1stアルバムです!!

⑥A Minor Forest(マイナーフォレスト) -『...So, Were They in Some Sort of Fight?』

前述で紹介したマイナーフォレストの1999年発表の3枚目のアルバムで、多分コンピレーションアルバム。2枚組になっていて内容もとても良し!!

終始ヒリヒリと緊張感のあるサウンドはこの時代特有のもので、現代には産み落とされ得ない感性なのではと思うくらいのオリジナリティを秘めています。
かなりかっこいいのでぜひ試してください!!

⑦BLUETIP(ブルーチップ)-『Dischord No.101』

フガジのイアン・マッケイのディスコード・レコードからのリリース。
ワシントンDCのバンドです。

元SWIZ、スイートベリーフリークダウンというバンドにいたジェイソン・ファレルとデイブ・スターンが中心となって結成。DCのレボリューションサマー世代のガツンとくる強烈なロックアルバム。
メンバーのジェイソン・ファレルはディスコード・レコードのアルバムジャケットのアートワークも手がけたりとマルチな才能のある人。

全曲ハイテンションでぶっ飛んでいるバンドです!!

⑧BLUETIP(ブルーチップ)-『Post Mortem Anthem』

前述のバンドの編集盤。
未発売曲やコンピ収録曲、B面などをまとめたアルバムです。
発表は2001年ですが、90年台の彼らの隠れた名曲がたくさん入っています。
某中古CD屋さんの安売りワゴンラックで100円で購入。本当ラッキー。

⑨Down by Law(ダウン・バイ・ロウ)-『Blue』

1991年、エピタフレコードからのリリース。
元D.Y.S.、DAG NASTY 、ALLのフロントマン、デイヴ・スマリーを中心に結成されたパンクバンド。

ハードコアテイストなスタイルはやや薄れ、乗り心地の良いロックンロールスタイルになっています。彼が行き歩いたバンドは全て人気があり、パンク好きな方は名前くらいは聴いたことがあるのかもしれないけど、それらのバンド解散後のデイヴの活動はあまりチェックされていないと思うんですよね。

デイヴはこのバンドで最高に弾けています!!

今作は2ndアルバム、『Blue』っていうタイトルだけど、ジャケットは真っ赤!!

⑩Down by Law(ダウン・バイ・ロウ)-『Punkrockacademyfightsong』

ダウン・バイ・ロウの3rdアルバム。前作よりもっとパンキッシュな感じ。
ディヴ・スマリーのボーカルも実にカッコよし!!

捨て曲はなしで、1曲2〜3分台で一気に聴けるショートチューンが大半を占めます。
おすすめ曲は『500MILES』。プロクライマーズのカバーかな。
スノーボード・スケートボードのBGMとしても最適なアルバム。1994年作。

90’s グランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -4

前々回に次いで同企画!!今回も音楽シリーズです。今回からは同時期に活躍していた日本のバンドに触れていきます。日本の90'sロック編!!

①BOREDOMS(ボアダムス)- 『Soul Discharge』

ロラパルーザの出演やニルヴァーナの全米ツアーのオープニングアクトを務めたりと海外での活動がメインでソニック・ユースのキム・ゴードンやオルタナバンド勢とのつながりも強い。

多分日本最強のバンド(勝手に思っているだけ…)。

1986年に結成されたオルタナティブバンドで山塚EYE(アイ)が中心となり活動。『Soul Discharge』は彼の1stアルバムでニューヨークのShimmy-Discからのリリースです。
サウンドはかなり実験性が高く、とにかく凶悪でスピーディー。クレイジーなバンド。1990年代はボアダムスがとにかく熱い時期なのでぜひぜひぜひ聴いてみてください。ちなみにShimmy-Discからルインズというエクスペリメンタルバンドも作品を出しています。ボアダムスもルインズも日本より海外での知名度が高いとされるバンドたちです!!

▶︎ Boredoms - Soul Discharge (1989 vinyl) (with download) - YouTube

②BOREDOMS(ボアダムス) - 『Chocolate Synthesizer』

1994年の作品。より一層狂った感じです。凄まじいスピードとパワーで全編あっという間に聴いてしまう1枚。ノイジーでスカム。アートワークも独特。EYEのセンスがこの1枚に詰まっている感じ。サウンドを聴くと少し難解に思われる方もいるかもしれませんが何度も聴いているうちにどんどんハマってくるスルメ盤のような作品でもあります。本当に日本のロックバンドなのかと思うほどのかっこよさ。

▶︎ Boredoms-Chocolate Synthesizer (1994) - YouTube

③John Zorn(ジョン・ゾーン)- 『Naked City』

ジョン・ゾーンは海外アーティストですが、前衛音楽家の彼の作品でボアダムスのEYEがゲストボーカルとして度々参加しているので、その作品の中の一つ、『Naked City』を紹介しようと思います。

サウンドはジャズ、インプロビゼーションが色濃く、ジョン・ゾーンの狂ったアルトサックスにギター、ベース、ドラム、キーボードがついていく感じ。ジャズスタイルなんだけどかなりロックっぽい雰囲気もあり、中盤のグラインドコア系のトラックではボアダムスのEYEがボーカルとして参加し、ジャケットには漫画家の丸尾末広さんデザインはサディスティック・ミカ・バンドやイエロー・マジック・オーケストラの高橋幸宏さんも参加。日本人アーティストも大勢携わっているアルバムなんです!!1990年作の隠れ名盤です。山塚EY関連ということで入れてみました。

▶︎ John Zorn & Naked City with Eye - NYC live - YouTube

④FREE KITTEN(フリー・キトゥン)- 『Nice Ass』

こちらもボアダムス関連ということで。
1994年、キル・ロックスターズからのリリース。元プッシー・ガロアのジュリィ・カフリッツ、ボアダムスのヨシミ、ペイヴメントのマーク・イボルドの4人からなるバンドです。ジュリィとキム・ゴードンはX-girlで有名ですよね。

▼過去の記事でも紹介しているので見てみてくださいね! www.lentlent.com

サウンドはジャンク風味でアングラなパンクロックといった感じです。彼女たちの作品の中だと個人的にはこのアルバムが一番やさぐれ感があって好き。

⑤BUCK-TICK(バクチク)-『darker than darkness』

1993年発表のバクチクの8枚目。ヴィジュアル系?と思う人も多いと思いますが、そのイメージで活動していたのは初期のみ。6枚目の『狂った太陽』以降は前作品からはイメージもつかないくらい実験性も高く、ポジパンテイストも含みつつダークなサウンドをアップデートし続けています。この『darker than darkness』はナイン・インチ・ネイルズに影響を受けたのか、トラック終了後ずっと無音のトラックが続き、93曲目にアルバム表題曲がかかるという手法をとっていて、トレントレズナーの影響は多少なりともあるのではないかと勝手に思っています。ジャケットのアートワークも不気味。グランジ、アメリカンオルタナティブ系サウンドと共鳴しているような感じも伺えます。好きな曲は2曲目「Deep Slow」、5曲目「神風」、93曲目「D・T・D (表題曲)」。どれもかっこよし!!暗闇を音にしたようなアルバム。

⑥THE MAD CAPSULE MARKETS(ザ・マッド・カプセル・マーケッツ)- 『MIX-ISM』

グランジ以降の1990年代を代表する日本のロックバンドだと思います!!彼らの作品は全部いいのでどれにするか悩んだんですが、今回は『MIX-ISM』。

バンド後期のデジタルゴリゴリスタイルもかっこいいのですが、『MIX-ISM』はそうなるちょっと前くらいのアルバム。どことなくレイジの1stアルバムに似ていると思っているのは僕だけか…。少しポリティカルでミクスチャースタイル。レイジよりはストレートなロック。KYONOのボーカルもやさぐれ感ががありかっこよし!!こんなバンドはもう出てこないかもしれないですね。

⑦BLOODY IMITATION SOCIETY(ブラッディ・イミテーション・ソサエティ)- 『SCREAMIN' NO METHOD』

1990年にTHE MAD CAPSULE MARKETSを結成する室姫 深(むろひめ しん。BLOODY IMITATION SOCIETYでは児島 実名義)のバンド。彼はデランジェというバンドのKYOのソロプロジェクト・DIE IN CRIES(ダイ・イン・クライズ)にも加入していて、このバンドは現ラルクアンシエルのYUKIHIROも在籍していたバンドでもあります!!DIE IN CRIESと並行して発足したのが今回紹介するBLOODY IMITATION SOCIETY。サウンドはマッドカプセル譲りのミクスチャー的な感じ。こっちの方がよりファンキーな印象。縦ノリ全開、少ししゃがれ気味のボーカルもかっこよし。ストリート色の強いミクスチャーハードコアでジャケットからしてゴリゴリ感が伝わってきます!!おすすめ盤!!

⑧COCOBAT(ココバット)-『RETURN OF GRASSHOPPER』

Hi-STANDARDとも同じ時期に活躍していたゴリゴリハードコアバンド。このアルバムはドン・フューリーがプロデュース。こういう不良っぽい音を出すバンドって今はもういないんだろうなあというくらい悪役っぽい雰囲気。スピード感とゴリゴリ感。中心人物のTAKE-SHITのビギビギしているベースプレーもかっこよし。アートワークはハードコアアートでも有名なパスヘッドが手がけています。1996年の作品。キレていてぶっ飛んでいるという表現がしっくりくるバンドだと思います!!

⑨Buffalo Daughter(バッファロー・ドーター)- 『New Rock』

1998年発売の2ndアルバム。そして代表作でもあります。元ハバナ エキゾチカの大野由美子、シュガー吉永、そして山本ムーグにより結成されたバンド。TB-303、Minimoogなどを巧みに使用したり、ドラムンベース、マスロック、ノイズなどの要素も取り込んだりと実験性も高くコーネリアスとか好きな人にもおすすめです!!国内での知名度よりも海外での評価が高いかも。活動もワールドワイドでビースティ・ボーイズとキャピトル・レコードと共同で作ったレーベル、グランド・ロイヤル・レコードからのリリースです。

⑩ZI:KILL(ジキル)-『ROCKET』

ヴィジュアル系で取り上げられることが多く、実際そういった系譜の中にいるバンドには違いないのですが、1993年の時点でこのクオリティ。以前の4作はポジティブパンクテイストで、めちゃくちゃカドがたっている感があり、そのスタイルでも十分カッコよかったんですが、5枚目の『ROCKET』はかなりストレートなロックといった感じに仕上がっています。TUSKのボーカルスタイルもアンチな感じがしてとてもよし!!

▶︎ ZI:KILL / ROCKET - YouTube

最後に

今回はグレンジ扇風風吹き荒れる90年代初頭とムーブメント終焉付近の日本のロックバンドを紹介しました。本国に負けず劣らずのクオリティの高いバンドがたくさんいます!!ぜひ試してみてください!!音楽シリーズの紹介は次回も続きます!!

90’sグランジ・オルタナティブと呼ばれたバンドと名盤10選 -3

またこのシリーズ…。
それでは1枚目から。

①Melvins(メルヴィンズ)- 『Lysol(aka Melvins)』

カート・コバーンも敬愛していたシアトルのバンド。サウンドはブラック・サバスとブラック・フラッグを煮込んだ毒気のある激烈なサウンドと言われることが多いんだけど、まさにその通りのヘヴィで極悪極まりないサウンド。このアルバムは1992年発売、、1曲のみの収録で31分という長尺。スラッジ/ドゥ-ムリフが全編を占め、とにかくスロー。そしてものすごいヘヴィネス。これを発売したBoner Recordsもすごいです。スピード感やスクリームだけが激しい音ではないし、むしろこっちの方がぶっ飛んでるかも。地を這うようなヴォーカルスタイルも◎!!

▶︎ Melvins - Lysol [Full Album] - YouTube

②Texas Is the Reason(テキサス・イズ・ザ・リーズン) - 『Do You Know Who You Are?』

彼らが後世に残したエモシーンへの影響はものすごく大きいと思います。エモクラシックをあげると必ず入ってくる名盤でエモコアの先駆け的な作品でもあります。全編ミドルテンポでギャレット・クランのヴォーカルもとても表現豊か。今作は1996年にハードコアの名門レーベルであるレベレーションレコーズからのリリースになります。メンバーは元々、シェルター、108といった激ハードコアバンド出身者でプロデュースはジェイ・ロビンス。彼らはシングル(3曲入り)とこのアルバムが唯一作。エモ、インディロック好きにおすすめです!!

▶︎ Texas is the Reason - Do you know who you are (1996) Full album - YouTube

③Lagwagon(ラグワゴン)- 『Let's Talk About Feelings』

ジャンルで言うとメロコア。スノーボードのDVDやVHSなんかにも曲がたくさん使用されたりしていて、スピード感とメロディアスな曲が彼らの特徴。NOFXのファット・マイクのレーベル、FAT WRECK CHORDSからのリリースです。個人的に大好きな曲は11曲目「May 16」。このバンドは今回紹介させてもらっているジャンルにはほとんど取り上げられることがなく、「メロコアかよ」と思う人も多いかもしれないですが、このアルバムはパンク・オルタナ性をしっかり踏襲しているし、メロコア自体がオルタナティブだと思うので思い切ってこの1枚を選びました。ジャケットのセンスも抜群。おばあちゃんなのかな…?1998年作。

④HELMET(ヘルメット)- 『Meantime』

サウンドはかなりヘヴィでメタリックです。このバンドのペイジ・ハミルトン(Vo)は元々ジャズ畑出身ということもあり、ジャズの要素も取り入れています。重く、そして緻密な音は今聴いてもとてもかっこよくて新鮮。ドラムのジョン・スタニエは現在バトルスというポストロックバンドで活躍しています。この高次元な曲たちは確かにポストロックとの親和性が高いと思わせてくれます。この作品は1992年作でInterscope Recordsというレーベルからのドロップです。ちなみに前作『Strap It On(1990)』『Born Annoying(1995)』の両作も聞き応えがあるのでぜひ試してみてくださいね。僕が初めてきいたときはまだ高校生の時で大して耳も肥えていなかったにも関わらず、あまりのかっこよさに鳥肌がたったのを記憶しています。とてもいいアルバム。

⑤ Elliott(エリオット)- 『Us Songs』

ケンタッキー州ルイビル出身のエモバンドでレヴェレーション・レコードからの1stアルバム。センス・フィールドやジミー・イート・ワールドが好きな人にもおすすめ。どこかノスタルジックでボーカルも優しげ。インスト曲を含むとてもエモーティブなハードコアバンド。ミドルテンポな曲も多く、とても聴きやすい1枚です。元FALLING FORWARDというバンドのメンバーによるバンドでデビュー前から注目されていて、1stは期待を裏切らない最高の出来です!!Texas Is the Reasonとのサウンドの共通点も多いかも。ジャケットもよし!

▶︎ Elliott - U.S. Songs - YouTube

⑥Weezer(ウィーザー)- 『Pinkerton』

1996年発売の2ndアルバム。1stアルバムの『Weezer』があまりにも有名なので『Pinkerton』はやや影が薄い印象を受けるんですが、個人的にはこっちが好き。前作よりラウドでハードな仕上がりで全編を通して暗い雰囲気。リヴァース・クオモ(Vo.G.)のパーソナルな部分も全面に出ていてものすごくかっこいい1枚。特に、7曲目「El Scorcho」がお気に入りかな。ちなみにジャケットのアートワークは歌川広重の浮世絵でリヴァースの奥さんは日本人というのも有名です。闇落ちしたパワーポップという感じです。大名盤!!

⑦Superchunk(スーパーチャンク)- 『NO POCKY FOR KITTY』

マック・マコーン(Vo.G.)とローラ・バランス(B.)によって1989年に結成。ノースキャロライナ州チャペルヒルのバンドです。この作品はプロデューサーにスティーヴ・アルビニを迎え自宅のスタジオで3日間で完成させたもの。勢いがそのまま伝わってくる迫真の演奏です。当時のグランジムーブメントの中では突き抜けてポップでパンキッシュなバンドでした。これを嫌いな人はいないはずだ!!と思いたい1枚。1991年作でアメリカのインディーレーベル、MERGE RECORDSからドロップされています。当時はポストニルヴァーナ的な注目も集めていたらしいですよ。

⑧Jane's Addiction(ジェーンズ・アディクション)- 『NOTHING'S SHOCKING』

大名盤。中心人物のペリー・ファレルはロラパルーザの主催者として有名。他にもアートも手がけるマルチな才能を持ったカリスマ的存在でした。サウンドの方は1980年代後期から盛り上がりを見せたミクスチャーロックスタイル。この時代の他のバンドに比べ、かなりサイケ感とファンク色が強いという印象です。のちにレッド・ホット・チリ・ペッパーズに加入するデイヴ・ナヴァロも在籍し、彼のメタリックなギターを軸としたスタイルは当時「メタルファンク」とも呼ばれていたそうです。スピード、ハード推しの曲だけではなくてミドルナンバーもおすすめ。好きな曲だと「Jane Says」。アメリカからしか出て来なそうなバンドです!!ちなみにデイヴ・ナヴァロはソロ活動もしていますし、ペリー・ファレルもソロ名義での活動としてPorno for Pyros(ポルノ・フォー・パイロス)というサイケデリックサイドに焦点を当てたバンドでの活動もおもしろいです。こちらもチェックしてみてくださいね!!

⑨Unwritten Law(アンリトゥン・ロー) - 『Oz Factor』

1996年のメジャー1stアルバムでサンディエゴのメロディックパンクバンド。プロデュースはグレッグ・グラフィン。彼はバッド・レリジョンのメンバーで音の方は単純明快、シンプルでわかりやすくノリよく突っ走りやすい曲を作るのが特徴。サーフィンムーヴィーの『Good Time』という作品の中でこのアルバム1曲目の「Superman」がケリー・スレーターのパートで使用されていて、僕が初めて聴いたのはその時。バッド・レリジョンやグリーン・デイが好きな人は必ずしっくりくるハズ!!グランジ・ムーブメントより後のバンドですが、とにかくかっこいいバンド。ぜひ!!

⑩The Great Unraveling(グレート・アンラベリング)- 『The Great Unraveling』

ポストハードコアバンドの”Universal Order of ArmageddonWikipedia site:djanimateurfinistere.com”、”Moss Icon"、”Born Against”、”The Convocation”などの中心人物トニー・ジョイのポストパンクバンドによる、たぶん唯一作。1995〜1997年と短い活動ですが、トニー・ジョイの携わっているバンドは全てかっこよし。マイナー中のマイナーですが、90’sサンディエゴの地下シーンが好きな方はビビッとくるかもしれないですね…。こちらもグランジムーブメントより後ですが、聴かないのはもったいない!!完全に埋もれているけど、とてもクール。

最後に

グランジ元年と言われる1991年とその前後・近辺のバンドを紹介させてもらっているのですが、久しぶりに調べたり聴いたりしていると紹介しきれないくらいいいバンドやアーティストがたくさんいる事を再確認。マイナーなバンドも取り上げたりしているのですが、サブスクにしっかり上がっているし、探せばわりと簡単に手に入りやすいものを中心にレビューしています。
次回はこの時期に活躍していた日本のバンドもいくつか混ぜて紹介していこうと思います。
また次回!!