shigashiga’s diary

ファッションと音楽のつながりをCDレビューを通して紹介・考察するブログです。

vol.8 スケートファッションと音楽のお話 - スケートシューズ紹介

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現在へ!!の前に、スケシュー紹介。当時はスケーターやファッションに敏感な人たちのみが履いていますって感じだったけど、現在は古着でもスポーツショップでも容易に見かけ、手にすることができます。DCやVANS、LAKAIなどの定番も良いですが、前編で紹介した時期のマイナーなブランドを調べていこうと思います。 

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www.lentlent.com

 

 

OSIRS (オサイラス)

スケシューといえばコレ!!っていう人はまずいないと思うし、ややマイナーなブランド。日本だと立石一樹さんがフローでチームに入っていたっけか。チームメンバーはかなりイケイケ、チャドナイトやデイヴ・マシューとか。『THE STORM』という作品もものすごい影響をもたらしていると思うけど、ここ日本では今ひとつ有名じゃない。デザインとかはインポートって感じで個人的には好きです。1996年のブランド。

osirisshoes.com

C1RCA(サーカ)

チャド・マスカが設立したカリフォルニアのブランド。1999年。マーク・アップルヤード、エイドリアン・ロペス、ジェイミー・トーマスも入ってたかな。チャド・マスカの当時所属していたショーティーズもカッコよかったですね。たまにリサクルショップでボロボロの状態が売っていて懐かしいと思うくらい。ジェイミー・トーマスは好きだけどサーカはあまり縁がなく、履いてことがなかったです。多分履き心地はいいと思うけど、個人的にあまり好きなデザインではないかな。チャド・マスカも好きだけど・・

c1rca.eu

GLOBE(グローブ)

ファッション誌での紹介や好んで履いている人もいないであろうブランド。僕は411VMでの告知でかっこいいなと思い、欲しかったシューズ。わりと歴史は長く、意外にもオーストラリア発。1985年にメルボルンでスタート。同社が持ってるブランドは多くDWINDLE(ドュウィンドル)、ENJOY、BLIND、ALMOST、DARKSTAR、TENSORなんかもそう。ロドニー・ミューレンやジェーソン・モスレイも有名サーフィンの方からのタジ・バロウ、マーク・オクルーポ、アメリカのCJ・ホブグッド、ダミアン・ホブグッドブラザーズをサポート・スポンサード。

当時、というか今も販売店が少なく、なかなか欲しい時に手に入らないんですよね。ゴツめ、ローカットのバランスも良く、VANSに近いかも。

us.globebrand.com

4CE(フォース)

STEREOからCHOCOLASE、そしてTURFへとデッキブランドを渡り歩いているマイク・ヨークの手がけたシューズブランドだったはず。僕は一瞬持ってたんですよね。2つか3つくらいしかモデルも確認できず。何かすごく履きにくかったっていうのがあったかな。でもデザインはとてもカッコよくて、スケート用じゃなく普段履きで使っていましたね。こちらもごく稀にリサクルショップの低プライスコーナーにぶち込まれてますね。マイク・ヨークが好きな方はぜひ。ちなみに僕が持っていたのは1stモデルでネイビー/ホワイトのミドルカットタイプ。なんかDCとかに似てるかも。

AXION(アクシオン)

1997年、カリーム・キャンベルが立ち上げたスケシューブランド。ガイ・マリアーノも関わっていたんだっけ。GENESISっていう型があるんだけど、これがガイマリモデルの再リリースなのかも。とにかくかっこいいスケシューで今もこんな型のは見かけないですね。僕の周りの先輩スケーターもこぞって買いあさり、ガンガン履いてスケートしてるところを見かけてはいつもいいなと思ってました。

ところがこのブランド、いつの間にかなくなってしまいます。謎の消滅。でも現在ひっそり復活とのこと。

axionfootwear.com

DVS(ディーブイエス)

他の目的は一切考えずスケートのみのデザイン・性能を考えて作られた本物のスケートブランド。アジア系スケーター、デーウォン・ソンもスポンサードされシグネチャーも出ています。価格も6,000〜10,000円くらい。わりと安価。

1995年にティム・ギャビンとケビン・ダンラップによって創設されたカリフォルニア産のカンパニー。今はサンダルや子ども向けのものなどフットウェア全般の取り扱いがあります。90年代のリバイバルファッションがここ数年きていますが足元もリアルなシューズで決めてみてはいいのでは。ちなみに僕は足幅が広く、DVSのwidthと合わなく靴擦ればかりで1回でダメでした。かっこいいのにもったいない・・

www.dvsshoes.com

Vita(ビタ)

当時でも希少であんまり販売されてなかったブランド。情報も少なく謎なブランド。このVitaはリースフォーブスの手がけたラインだったのかな。シグネチャー出してて個人的にリースフォーブスも好きだったしデザインもナイキっぽい感じで好みにフィットしたので4足くらい持っているんです。この時買った後、一度も古着屋・リユースショップ、ネット、店頭でも見ることがなくとても残念。プレ値が付いているわけではないけど欲しいなあといつも思っているシューズブランドの一つです。機会があれば調べてみてください。 

Duffs(ダフス)

ストリートスケート全盛の実力No1と名高いカリーム・キャンベルが前述のアクシオン立ち上げの前に履いていたスニーカー。日本では入手困難。カリフォルニアのブランドで1993年にスタート。あのロドニー・ミューレンのブランドなんですね。

ライダーはマット・ヘンズリー、アダム・アルファロ、ドンニューエン・ルイバレッタとか。ライダーもロックな感じの人たち。マット・ヘインズリーとアダム・アルファロはBLACK LABELですし、マットはフロッギング・モリーというアイリッシュパンクバンドをやっています。ルイ・バレッタもエメリカのイメージがあったけど、OSIRSやDuffsもスポンサーしてたみたい。僕はVANSよりこっちのテイストが好きです。何年か前になぜかローカルなホームセンターに積まれて置いてあったんですよね。当然いっぱい買いました。こちらも今のファッションにハマるデザインだと思うのでチェックしてみてください!!品切のようですが参考までに▼

 

 

シューズ編、終わり!

 

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ちなみにフロッギング・モリーのオススメは『Swagger』というアルバム。テイラー・スティールムーヴィーというサーフィンのDVDシリーズの『Loose Change』にも今日が使われています。

 

次回はスケートVHS、DVDのカッコ良い使用曲集、アーティスト紹介です。

vol.7 スケートファッションと音楽のお話 -【第五世代- 2000年代】サーフブーム到来。元々のオールドスタイルの見直しとリバイバル。Z-BOYSを題材にした映画のヒット。スケートカルチャーの世界的な浸透。

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2000年代に入ると世界的なサーフィンムーブメントの流れによって、元々あったオールドスクール系のスケートボードが見直されるようになります。この時期日本でも「カーバー」という新しいタイプのスケートトラックが出てきます。カーバーは前側のトラックが振り子稼働し、簡単に加速することができる他、深いカービングを描くことができるのが特徴です。

carversk8boards.com

 

この時期から「サーフスケート」というスタイルが出始め、Z-BOYSの映画も世界中で公開され、スケートボードカルチャーがみじかなものとなっていきます。

サーフィンの方はケリー・スレーター、ロブ・マチャド、サニー・ガルシア、アンディ・アイアンズ、ブルース・アイアンズ兄弟、マロイ兄弟にシェーン・ドリアン、コナン・ヘイズらが大暴れ。ものすごいインパクトでショートボードムーブメントをさらに加速させていきます。テーラー・スティールムービーシリーズで彼のサーフィンを見れますよ。

luvsurf.co.jp

 

2000年くらいから日本でもやたらとサーファー・スケーターも増え始めたのかな。サーフィン特集もそのうちやってみようかな・・

スケーターはダボっとしたファッションからややタイトなシルエットになったり、サーファーもスロウライフをモチーフとしたゆるっとしたメロウなスタイルが流行ったり、ファッション面でも変化が現れてきます。クイックシルバー、ビラボン、RVCAがスケートをサポートし始めるのも2000年代。90年代に産声をあげたブランドたちもこの年代になり、パワーアップしていきます。

そして現在へ!!

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vo.6 スケートファッションと音楽のお話 - スケートボードブランド・VHS映像の名作集

 

スケートの発展に多大な影響を及ぼしたストリートVHS(ビデオ)。今ではDVDからネット配信に変わり、古い媒体ではあるけれど、当時はこの方法でしか知る術はなく、このビデオでしか遠く離れたアメリカの空気を知ることができませんでした。そんなVHSの名作を10選を紹介します!!個人的にかっこいいと思うものをチョイスしているので時系列はバラバラです。すみません。あと絶対外せない名作見たいのも入れています。まずは・・

Plan B -『Virtual Reality』(1993年)

バーチカルスタイルとストリートスタイルっていうのはこの時期分かれつつあったんだけど、両面からアピールし、両スタイルをクロスオーバーしたことで有名なコリン・コッケイ、ダニー・ウェイが在籍。各パートに使用されている音楽もロック&HIP HOP。オープニングはオジー・オズボーン。全パート必見なんだけど、トニー・ファーガソンのストリートをいなすす滑りが大好き。全体的にスピード感とリスキーなトリックが多く、爽快なBGMとの一体感もありますよ。

使用曲一覧はこちら。

  • Ozzy Osbourne - I don't know 
  • Steve Miller Band - Serenade 
  • kiss - Detroit Rock City 
  • Souls of Mischief - Souls of Mischief
  • metallica - For Whom The Bell Tolls 
  • casual - A Little Something 
  • casual - Lose In the End 
  • Jim Croce - You Don't Mess Around With Jim 
  • Jim Croce - Time in a Bottle 
  • The Beatnuts - Story
  • Rick James - Give It To Me Baby 
  • The Offspring - Session 
  • Primus - DMV 
  • Led Zeppelin - Good Times Bad Times 
  • Buffalo Springfield - For what it's worth 

このプランB、他にもショーン・シェフィー、ロドニー・ミューレン、マイク・キャロル、リック・ハワード、パット・ダフィー、サル・バービア、ゲスト出演にロブ・デューディック、サルマン・アガー、ジョバンナ・タナー、エリック・コストン、ジョン・カーディエルなども。現在はポール・ロドリゲスも加入しているみたい。今なおトッププロを抱えるスケートチームの初期の映像。他にも1992年『Questionable』、1994年『Second hand smoke』、1997年『The Revolution』もクラシックながら最高の作り。昔の作品だけど機会があれば見てみてください。

 

次は・・

Alien Workshop -『Photosynthesis』(2000年)

スケートしている人以外にはもしかしたら聞きなじみのないブランドかも。エイリアンワークショップは1990年にクリス・カーターとマイク・ヒルによってオハイオ州で設立されたデッキブランド。特徴はアート・音楽色が非常に強く、それらをチーム作品の随所に色濃く映し出していること。ライダーも普通の感性ではない感じの人が多いイメージ。2008年にバートン傘下になり、2012年にロブ・デューデックが買収。その後大企業であるPacific Vector Holdins の手に渡り、2014年に同社が倒産し、一時的に消滅します。そしてまたロブ・デューデックが買収してディストリビューターをTum Yetoへと移し、また復活とてんやわんやな経緯も。内情はともかく初期の頃からオシャレでかっこいいライダーぞろい!!ジェイソン・ディル、アンソニー・バンイングレン、ジョシュ・キャリス、ロブ・デューデック、ディラン・リーダー、スティーブ・ベラなどなどタレントばかり。

 

『Photosynthesis』ではオープニング一発目からアンソニー・バンイングレンの荒削りストリートライディングからスタート!!サーチ&ディストロイ(イギー&ステューディーズ)をBGMにフリック、カーブトリックなどイケイケなスタイルを見せてくれますよ。LOVE PARKでのジョシュ・キャリスのキックフリップ。あとジェイソン・ディルも印象的。彼の着ているシュプリームもかっこよし。この頃のジェイソン・ディルが一番好き。他にマーク・アップルヤードも出てますね。全体にアーティスティックでライダー個人のスキルもすごいけど、ビデオとは思えないアートワークです。

同時に音楽もストリートとスケート、アートもしっかり溶け込んでいてオシャレ的。2000年にドロップ作品ですがネクストレベル。音楽もポストロック、HIPHOP、パンク、ロックなどうまく融合されています。ジェイソン・ディルのパートのレディオヘッド使用なんてステキすぎ。興味があれば聞いてみてくださいね。

  • Iggy Pop & The Stooges - Search And Destroy
  • Thurston Moore - Root
  • Tortoise - Ten-Day Interval
  • Turing Machine - Swiss Grid
  • Freddie Foxx - 24 Hrs
  • UNKLE - Rabbit In Your Headlights
  • Radiohead – Polyethylene

あと、このブランドの姉妹デッキブランドでHABITATっていうのもあるんだけど、こちらも姉妹ブランドだけあって良いデザインが多くトップスケーター達が揃っていますね。

 

エイリアンワークショップからもうひとつ。

Alien Workshop -『Mindfield』(2009年)

こちらは最近の作品ではないのですがこのブランドやライダーたちのキャリアハイを感じさせるものすごい内容。キャリス、アンソニー、ジェイソンの他にもアートサリ、ヒース・カーチャート、マイク・テイラー、オマー・サラザールなど。

使用されている音楽も冒頭1曲目アメージンググレイスのバグパイプの音から始まり、オープニングのオマーのパートのダイナソーJr.と何とも言えない賛美感と相反するスピード感。他の使用曲もいいけれど特にこのオープニングで心を持っていかれます!!『Photosynthesis』とどこか似たサイエンス感も含んでいてこの作品をさらに進化させた感じ。ライダー個々のライディングもすごいだけでなくオシャレ。

あ、あとダイナソー.JrのJ.マスシスも出てますよ。個人的ベストパートだとジョシュ・キャリスのパートかな。にじみ出るHIPHOPスタイル。凄まじいトリッキーさ。回し系。グラインド。全部あこがれます。古着屋さんでDCの初期の彼のシグネチャー売ってて状態も良しで即買いしましたよ。それくらい響きましたね。

他にもジェイソン・ディルの変態的スタイルや洗練されたアンソニー・ヴァン・イングレンのゴリゴリのパート、ヒース・カーチャートのぶっ飛んだレッジトリック、ステアなど見所盛りだくさん。アート、ファッション、スケート、音楽がみっちりとこの1本で体験できると思います。使用曲はざっくりとこちら。

  • Dinosaur.Jr - Almost Ready
  • Animal Collective - My Girls
  • Elliott Smith - Coast To Coast
  • Steve Winwood - Dear Mr. Fantasy
  • Adolescents - Kids of the Black Hole

Blind Skateboard -『Video Days』(1991年)

1991年にリリースされたブラインド・スケートボードのVHS作品。監督はスパイク・ジョーンズ。「マルコヴィッチの穴」「かいじゅうたちのいるところ」でも有名ですよね。この作品、スパイク・ジョーンズが手がけているんですが日本だとマイナー作品。ライダーはジェイソン・リー、マーク・ゴンザレス、ガイ・マリアーノ、ルディ・ジョンソン、ジョーダン・リクターなど。スケートしていない人も名前くらいは聞いたことがあるかも。ジェイソン・リーはステレオ、マーク・ゴンザレスはリアル→クルキッドなんかもやっています。最も影響力のあるスケートVHSだと思います。マーク・ゴンザレス、ジェイソン・リー、ガイ・マリアーノ、彼らの天才的才能とスタイルが見れますよ!!

〜1991年、これまでのスケートボードの価値観を覆す作品がこの『Video Days』。80年代のスケートムーブメント終息後のスケート界にマーク・ゴンザレスを中心とする「ブラインド」と駆け出しフォトグラファーのスパイク・ジョーンズが新しいムーブメントを作っていきます。

見所は全部かな・・。普通、こういうスケート作品を作るときってライダー1人ひとりが何日もかけて良い滑りをためていくので違う服装、髪型だったりするんだけど、『Video Days』はひとりのステージを1日で撮り終えるというもの。リアル感もあるし、そういう考えもステキすぎ。あとこのVHSのもうひとつの見所は未成年ライダーたちが酔っ払い運転でカーブを曲がりきれなくて崖から落ちていくシーン。今だと絶対アウトだし笑えないけど、この作品だと本当に不謹慎だけど彼らのあまりのバカっぷりに笑えます。あと例のごとく使用されている音楽もオシャレ。

  1. オープニング:War - Low Rider
  2. ガイ・マリアーノ:Jackson5 - Want You Back
  3. ジョーダン・リクター:Black Flag - My War
  4. マーク・ゴンザレス:John Coltrane With the Red Garland Trio - TRANEING IN / Some Damn Good Jazz 
  5. 『Short Film』
  6. ルディ・ジョンソン:Dinosaur Jr. - Just Like Your Heaven
  7. ジェイソン・リー:MILK - The Knife Song / Hüsker Dü - Real World
  8. エンドロール:Ry Cooder - Cancin Mixteca

なかなか最近のが入ってこないけど、とりあえずはだいぶ前とかちょっと前から選ぼうと思います。今に与えた影響とかクラシックな名作ということなので。

 

次の作品は激ハードコア&ロックンロールスタイル。

 

BLACK LABEL - 『Label Kills』

BLACK LABELはジェイソン・アダムス、クリスチャン・サビタック、サルマン・アガー、アダム・アルフォーなど。こちらもタレントばかり。

各ライダーの個性も強く、レール、ステア系のトリック攻めがハンパじゃないです。当然BGMもメタルやハードコアばかり。ロック好きのスケーターはぜひ!!

BLACK LABELの『Label Kills』の次曲『Black Out』もかっこよし!!

 

ZERO - 『New Blood』(2005年)

ZEROの方はクリス・コール、ジェイミー・トーマス(僕はジェイミー・トーマスが1番好き)。

 

Zoo York -『Peep This』(1999年)

出演ライダーもNY臭ムンムン。クイム・カルドナ、マイク・カルドナ、キース・ハフナゲル、クリス・ケーフ、ジョナス・ケーフ、ジョシュ・キャリス、マイクV、ハロルド・ハンターなど。NYのアイコン的スポット、ブルックリンバンクスはスケート用に作られていない構造物でいかに人と違う自分のオリジナルのスタイルを出すかが全て。そしてこのメンツ。文句なしです。

Zoo Yorkは1993年にできたNYのブランド。ロドニー・スミス、イライ・モーガン、アダム・シャツらが東海岸のスケートシーンを確立するために起業。彼らはもともとマンハッタンのリバーサイドパークスでグラフティ集団として活躍していたのでNYのストリートシーン(HIPHOP、スケート、グラフィティ)のカルチャーから影響を受け、それがデッキのデザイン・アパレルの雰囲気につながっています。良い作品ですぞ。ちなみに僕が初めて買ったデッキはZoo Yorkのチームデッキでした。

 

WORLD INDUSTRIES -『Love Child』(1992年)

1982年にロドニー・ミューレンとスティーブ・ロコがワールド・インダストリーズを立ち上げます。 イメージキャラのフレームボーイやウェットウィリーは有名ですよね。設立したのは1987年。マイク・バレリーも入ってます。カリフォルニア州サンタモニカのブランドです。

たくさん作品もあるのですが、ぼくがイチオシなのはこの『Love Child』。オープニングはチコ・ブレネス。チョコレートでも活躍の彼がオープニングでステッペンウルフの「 Born to Be Wild」をバックにスキルフルで勢いのあるライディングを披露。このオープニングだけで満足。おそるべし90年代。使用曲もシュプリームス「Baby Love」、トーケンズ「The Lion Sleeps Tonight」、スリー・ドッグ・ナイト「Back And White」など。他にもレイチャールズ、ダイアナロス&シュプリームス、スティーヴィーワンダーも。ライディングとミュージックとパックで見てほしいです。

 

TOY MACHINE -『Welcom to Hell』(1996年)

これまた外せない作品。ライダーはマイク・マルドナド、エリッサ・スティーマー、ブライアン・アンダーソン、ドニー・バレー、エド・テンプルトンジェイミー・トーマスら。トリのジェイミー・トーマスのパートは圧倒的!!ミスフィッツのTeeシャツを着てハンドレールトリックの連続。かなりのアンチコンなライディング。この人は回し系トリックもすごいんですよね。他にもエド・テンプルトン、エリッサ・スティーマーも見逃せない。使用曲はざっくりとラード、ミスフィッツ、ヴァン・ヘイレン、ピンク・フロイド、ジェファーソン・エアプレイン、ブラック・サバス、ソニック・ユース、D.R.Iとか。トイマシーンはエド・テンプルトンが1994年に設立したブランド。グラフィックアートも個性的で僕も大好きなデッキです!!最近はRVCAともTeeシャツコラボもしてますね。

Girl -『Mouse』(1996年)

1993年、リック・ハワード、マイク・キャロルらが当時スポンサーだったPLAN B。ワールド・インダストリーズから独立し、設立させたスケートブランドの1996年2作目。リリースされる作品は全て歴史に残る名作でやはり最近の 『Pretty Sweet(2012年)』、『Wet Dream(2014年)』などが有名で紹介したいとこですが、今回はこの『Mouse』を選びました。

オープニングも着ぐるみを着たネズミがストリートでスケートしてるとこから始まり、ジェロン・ウィルソン、ショーン・シェフィー、ショバンテターナー、ルディ・ジョンソン、マイク・ヨーク、チコ・ブレネス、リチャード・マルダー、キーナン・ミルトン、そしてエリック・コストン、ガイ・マリアーノ、マイク・キャロル、リック・ハワードと悪い内容なわけがないですよね。フィッシュアイレンズの効果もあり、味のある雰囲気が終始続きます。

そしてやっぱりBGMもオシャレ。彼らのライディングとストリートの雰囲気を引き立ててくれるチョイス。クイーン、ボブ・ドロー、ジョン・バリー、クリス・メイフィールド、ボブ・ジェイムズ、アース・ウィンド・ファイヤー、ロイヤルフラッシュ、ノラ・ジョーンズなどとてもスキルフルなパートばかりなのでこちらのチェックして見たください。

 

当時の様子やファッションもこの映像でチェックできると思います。これらを踏まえて2000年代へ入ります。もっともっと洗練されたファッションが進む第五世代ストリートです。 

vol.5 スケートファッションと音楽のお話 - 【第四世代 - 1990年代】アートファッション・音楽 との更なるクロスオーバー、ストリートスタイルの確立

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1980年代、スケートボードビジネス業界に一大帝国を築いたBONES BRIGADEも80年代後半のスケートブームの低下と共に人気も低下。パウエル・ペラルタは解散。一時期ですがムーブメントが下火になってしまいます。しかし!!新しいぶっ飛んだ世代が台頭してきます。海から始まったスケートボードが完全にストリートに進化、オリジナルなものに。

プランB、ワールドインダストリー(1970年くらいからあったけど)、ZOO YORKBLIND(ブラインド)、トイマシーン、エイリアンワークショップ、ZERO、インディペンデントやブラック(これも1978年からあったけど)、エレメント、DCなどチームと共にギアのブランドもどんどん力をつけてきます。地域(西か東か)によってやチームのカラーなどによってスケートスタイルも違い、HIPHOP色の強いスタイリッシュなチーム、パンク・ハードコア、メタルなどで激しいライディングを特色とするロックなチームなどデッキのアートワークを交え、個性がぶつかり合ってきます。みなさんがファッションでストリート系だとかストリートっぽいという感じの着こなしはこの時期のアメリカのストリートファッションのことを指しています。近年の90年代リバイバルもこの時期のミュージシャンやアートワーク、ファッションを色濃いものにしています。90年代の日本のムーブメントもまさにこの影響下にあり、アメリカのストリートカルチャーをモチーフにしたドメスティックブランドもたくさん生み出されていきます。

アパレルだとステューシー、FTC、シュプリーム、DC(ドロアーズクロージング)4STARなども有名。スケートTeeやワーク、アウトドアブランドをミックスしての着用だったり、古着を混ぜたり。音楽とリンクしてHIP HOPだとビースティーだったり、ロックだとグランジだったりと多様性も出てきます。各プロチームからの映像でのアピール発信も増え(この部分はBONESの功績かな)、かっこいいスケートVHSがシーズンごとに発売され、これを見て火がついたキッズはかなり多かったんじゃないかと思います。後世に残るくらいのすごいものも多く、これはあとで紹介しますね。

「音楽とファッションのリンク」といってもわかりづらく、パッとした上手な表現ではないと思う方もいると思うけど、この媒体群を見ればすぐ理解できると思います。でもそれは何十年も前になされていて、今も受け継がれているんだということを同時に感じてもらえると思います。ぼくはルーツを知るのはとても楽しいと感じましたよ!!

90年代のスケート進化はトリックにも如実に表れ、より一層技が複雑化され、それを複合したトリックも生まれ、同時に新しい新しいトリック名も出てきます。これらを加速させたのは常に前線にいるロドニー・ミューレンや各チームのスタイルの差別化、自分こそと思う強い向上心だったんじゃないかなと。現在の洗練されたトリックやセクションでのライディング、パートの技術は確かにものすごいですが、この90年代はとにかく「ネジがない」という感じ。違うぶっ飛び感があります。スケートもファッションもとにかくやってみようよっていう心意気が伝わってくる熱い時代。

そして2000年代に・・・

vol.4 スケートファッションと音楽のお話 - パウエル・ペラルタとボーンズ・ブリゲイド、その影響力

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1978年、ステイシー・ペラルタはスケートボード用品の製造を仕事にしていたジョージ・パウエルと共に「パウエル・ペラルタ」を興し、現最高トップスケートチーム作りを目指します。パウエル・ペラルタを興したその翌年に結成したのがBones Brigade(ボーンズ・ブリゲイド)。天才集団とも言えるこのメンバーは7人。

  • ステイシー・ペラルタ
  • スティーブ・キャバレロ:彼のVANSシグニチャーHALF CABは今でも有名。人気のモデルですよね。
  • ロドニー・ミューレン
  • ランス・マウンテン
  • トミー・ゲレロ:今ではしっかりミュージシャンとして活動しています
  • マイク・マクギル
  • マイク・ヴァレリー:アマチュアでスポンサードされていました
  • トニー・ホーク:ハーフパイプで900°(2回転半)メイクという現役バリバリのスーパースター。ゲームにもなっているのでスケート詳しくない人も知っているかも。ニックネームは「バードマン」。バードハウスというブランドも当時パウエル・ペラルタのチームメイトだったパー・ウェリンダーと共に設立。1998年の『THE END』というスケートフィルムはものすごい内容。ちなみに今、スノーボードで有名なショーン・ホワイトもトニー・ホークと親交があり、バードハウスの板使ってましたよ。

このチームは1980年代のスケートボード業界における確固たる地位を築き世界中のスケーターに影響を与え、常にシーンの中心に君臨していました。今でも当時のBONES BRIGADEに匹敵するカンパニー・チームはいないと思います。

このチームのその後の影響を見てみると・・

まず音楽シーンではトミー・ゲレロ。スケートボードのVHS・DVD・動画などでもたびたび使用されています。ジャンルはルーツ(ブルース・ジャズ)を基調にしたロック。作品によってはアンビエントテイストのあるインストもあったりします。クラブウケするようなものも結構あると思います。本場アメリカのスケーターはストリートでこういう音楽を聴きながら滑っているのかな。いい感じのおしゃれミュージック。スケーターとミュージシャン、両面でアーティスティックな活動をしていますね。

ちなみにおすすめアルバムはこちら▼

  • 『Soul Food Taqueria』
  • 『Loose Grooves & Bastard Blues』
  • 『Year Of The Monkey』
  • 『From the Soil to the Soul』
  • 『Return of the Bastard』

なんだか5枚と多くなっちゃったけどぜひジャケットのアートワークをセットで聴いてみてください!

 

ファッション面では全員がかっこよかったんだけど、特にみんなも知っているVANSの名作「HALF CAB」。スティーブ・キャバレロのプロモデルです。めっちゃ有名。ぼくも何足も履き潰しています。このスティーブ・キャバレロ、キャバレリアル・ターンを空中で「キャバレ・リアル」というトリックを作った人でもあります。トリックを開発って凄すぎますよね。彼はスケートの技術面でも後世に多くの影響を与えているのですが、とにかく多才な人で音楽好きが高じてFACTIONというバンドもやってたし(めちゃくちゃかっこいい)。モトクロスもやってたはず。『411VM2』というシリーズDVD『47ISSUE』でも見られます。興味があればFACTIONを聴いてみて、ついでに411VMの"47"も見てみてください。2000年初頭の彼を見ることができます。

 

vol.3 スケートファッションと音楽のお話 -【第三世代 - 1980年代】音楽との融合 - ストリートスタイルの始まりとファッションの定着

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この時期になるとクリスチャン・ホソイ、トニー・ホーク、ロドニー・ミューレンらが台頭。この頃から「トリック」とよばれるさまざまな技の種類やこのトリックの組み合わせが底なしに多様性を見せます。このトリックが新しいムーブメントになり街中の公共施設を利用し、このトリックを混ぜながらライドする「ストリームスタイル」が主流になっていきます。

若者が夢中になるスケート、そしてもうひとつ常に若者の心を捉えて止まない音楽シーン。

このふたつのサブカルチャーが必然で融合し、「スケーター」というひとつのファッションスタイルとしても確立することになっていきます。

スケート用のシューズやファッションブランドもこの頃からどんどん認知されていくことに。この時期の変化は大きく、その中心にあるのが前述のステイシー・ペラルタが始めた「パウエル」。そしてホソイ、トニー・ホーク、キャバレロ、マイク・ヴァレリーなど、要するにBones Brigade(ボーンズ・ブリゲイド)というチームの台頭にあります。ファッション的にも前年に比べて飛躍的にオシャレに。FTC、ステューシーなんかも1980年代後半からちらほら出てきます。今もみんなファッションとして愛着しているものがこの時代からスタートしていたんです。

今のスケーター、ストリートのアイデンティティはこの時期のものによるものが多いと思います。近年、Bones BrigadeのヒストリーDVDが出ているのでよかったこちらも見てみてください。YouTubeにもアップされているかも。ネルシャツ、オーバーサイズ、スケシュー。わかりやすいストリートファッションもこの80年代後期がどんどん増えてきます!ムーブメントに着火した80年代、個性と自身のスタイルの洗練、技術の発達、スケートがよりファッションと音楽、アートとの結びつきを進化させていきます。融合は更に進化しますよ。90年代もスタート。

vol.2 スケートファッションと音楽のお話 - 【第二世代 -1970年代】VANSやジェイ・アダムス、トニー・アルヴァ、ステイシー・ペラルタ

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▽前回の記事


今、「サーフケート」とよばれるサーフスタイルのライディングのひとつもこの70年代が源流。この年代初期にスケートボード本体の性能、パーツのクオリティが飛躍的に安定しました。この発達でスラローム、ダウンヒルがブームに。時期を同じくしてカリフォルニア、ベニスビーチにあったゼファー(サーフショップ店)。ここに集まっていた悪ガキによって結成されたのが、みなさんも知っている「Z-BOYS」。今日のオールドスクールブームの原型。オリジナルネイターですね。

メンバーはリーダーのジェイ・アダムスを中心に12人の構成。

  • ジェイ・アダムス
  • トニー・アルヴァ
  • ショウゴ・クボ
  • ボブ・ビニアック
  • ネイサン・プラット
  • クリス・ケイヒル
  • ジム・ミュアー
  • ステイシー・ぺラルタ
  • アレン・サーロ
  • ペギー・オキ
  • ウェンツル・ラムル
  • ポール・コンスタンティノウ

ベニスビーチのダウンタウンで超絶治安が悪いところでこのチームは生まれます。現在のスケートのラディカルな思想、アングラ感な雰囲気はこの時代の彼らのDNAをしっかり今も引き継いでいるからなのかもしれないですね。

スケートスタイルは当時主流となっていたフリースタイルとは一線を画し、サーフィンのテクニックを取り入れた新しいスタイルを確立していきます。体を低く、圧倒的なスピードでのライディングが特徴的で地面に手をついたターン、水を抜いたプールでの滑りなど現在のエクストリームスポーツと言われているスケートボードの礎になっています。

ちなみに個人的にはジェイ・アダムスが好き。ペンドルトンのシャツとジーンズ、そして例のデッキにしゃがみこむような低い姿勢のライディングをしている有名な写真があります。かっこいいし、今でもペンドルトンシャツがすきでムダに何着も買ってしまうし・・

この時代、Z-BOYSはストリートシーンを牽引し、若者のファッションアイコンになっています。彼らのファッションスタイルは間違いなく現代のファッションにも影響を色濃く残していると思います。VANSもこの時期にトニー・アルヴァが履いていますよね。オーセンティックのみだったVANSはスケートラインに初の「エラ」を発売します。これもこの時代からあったんですよ。

 

ちなみに日本ではABC-MARTが1994年から販売権を取得し、日本でも一気に普及することに。いい意味でも悪い意味でも誰でも履ける大衆性のあるブランドになっていますよね。サーファー的なスタイルを残しつつ当時のロックやファンクなど音楽シーンを感じさせつつ。「ネルシャツ×デニム×VANS」が板につき始めてきたのも70年代後期くらいかなと。ロングソックスにショーツスタイル、ノースリーブのTeeシャツもやはり彼らがお手本かなと思います(多分)。

全てではないと思うけど、この時代のマイナーブランドの普及や近年の90年代リバイバルやいつも当たり前にみんな着用しているVANSにもルーツは必ずあって、それを理解しないとずっと好きでいられないし、せっかくのかっこいいブランドを「あのとき履いてたな・・」っていう消費のみで終わらせるのを回避できると思うんですよね。

ジェイ・アダムスのペンドルトンシャツとデニム、アルヴァのエラ。

今も色あせない良い服、くつです。

『ロード・オブ・ドッグタウン』というスケーターにとってはマストな映画があるので見てみてください。この映画はステイシー・ペラルタが脚本を書いていて当時の様子をリアルに再現しています。街並み、ファッション、スケート、当時の彼らの見た目まで忠実に再現されており、内容も良いのですが音楽も◎。ぼくはサントラも買いましたよ。参加ミュージシャンもソーシャル・ディストーション、フォガット、スウィート、テッド・ニュージェント、T.レックス、ディープ・パープル、ロッド・スチュワートなどロックメインの構成ですが、かなりのかっこよさ。映画見なくてもこのサントラのみでも満足できそう。機会があれば合わせて体験してみてください。

 

1975年のZ-BOYS発足から時間も流れ、彼ら個人にも変化が見られるように。

メンバーのひとり、ステイシー・ペラルタ

後世に強い影響力を及ぼすBones Brigade(ボーンズ・ブリゲード)がスタートし、熱くファッショナブルでロックな1980年のはじまりはじまり。ビッグネームとなるトニー・ホーク、クリスチャン・ホソイなどもこの時代から台頭してきますよ!!   

 

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